2014 Fiscal Year Research-status Report
企業統治のボラティリティへの影響:株主特性から見たアジア域内の比較研究
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24530369
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
蟻川 靖浩 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (90308156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光定 洋介 産業能率大学, 経営学部, 教授 (40460258)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 株式所有構造 / コーポレートガバナンス / 株価の情報効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本企業をサンプルとして、株価の情報効率性と株主構成、情報ディスクロージャーの関係について分析を行った。株価の情報効率性を測る指標については、以下の手順に従って作成した。まず、株価の個別ボラティリティを計算する。これは、各企業の株価のリターンを、市場ポートフォリオのリターンで回帰した残差として定義される。次に、株価の個別ボラティリティを求める推計で得られた決定係数を用いて、各企業の株価の情報効率性を計算する。具体的には、決定係数R2とした場合に、log(R2/1- R2)として計算される指標を、各企業の株価の情報効率性と定義した。 このように定義した株価の情報効率性を被説明変数とする一方、外国人株主の持ち株比率を説明変数として、株式所有構造の違いが株価の情報効率性に対して与える影響を分析した。その結果、外国人投資家の持株比率が高いほど株価の情報効率性が高いことが明らかとなった。外国人投資家が相対的に対象企業に関する情報を保有するインセンティブの高い投資家だとするなら、この結果は、より情報を保有する投資家(Informed trader)の株式保有比率が高いほど、株価の情報効率性も高まることを意味することになる。ただしこの点の頑健性を検証するためには、機関投資家など別の形で定義したInformed traderの株式保有が与える影響について分析することが必要である。また、株価の情報効率性についても、別の指標を用いた場合にどのような結果が得られるのか、を確認する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、計画よりもやや研究の進展は遅れている状況である。その理由は、分析結果の頑健性を検証するために用いる変数の作成作業が遅れているためである。第一には、株価の情報効率性を測る指標としてlog(R2/1- R2)以外のものを作成する必要がある。さらに情報を保有する投資家(Informed trader)として外国人投資家以外に、機関投資家などで構成される「アウトサイダー大株主比率」などの指標を作成しているが、この作業に予定よりも時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得た分析結果の頑健性を検証する。そのために前年度に引き続き、各企業の株式所有構造及び株価関連のデータの収集、データベースの構築を行う。そして、株価の情報効率性を測る指標および情報を保有する投資家(Informed trader)として、これまで使用したものとは異なる別の指標を作成する。
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Causes of Carryover |
平成26年度までに行った研究で、株式所有構造と株価のボラティリティの間の一定の関係を確認し、国際学会などにおいてその成果を報告した。その際、本研究を完成させる上で追加で行う必要があると考えられる点についてコメントを得た。それらの改善点を本研究に反映させるには、追加のデータ購入とそれを用いた更なる分析が必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加でデータを購入した上で必要な分析を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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