2012 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災前後の内製化・外部調達・アウトソーシングに関わる企業行動の変化
Project/Area Number |
24530427
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
佐々木 宏 立教大学, 経営学部, 教授 (80268482)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | Productivity / Management / IT services industry |
Research Abstract |
今年度の実績は、海外での学会報告2件と、査読付き論文1本を掲載できたことである。 (1)日本の全業種のデータを用いたRL-Chart分析を行い、国際学会で報告した(Sasaki, H.“RL-chart and comparison of all industries in Japan in view of business efficiency”, Asia Pacific Conference on Information Management 2012, 2012年08月,Seattle University)。 (2)日本のIT産業に注目して、B2BとB2Cのビジネスタイプの違いが生産性にどのように影響を受けるかについて論文を提出し、報告した。なお、この学会でフルペーパーの査読通過率は16%(14論文のみ)という報告があった(Sasaki, H. “Differences in efficiency between B2Bs and B2Cs in the Japanese IT services industry”, 14th IEEE International Conference on Commerce and Enterprise Computing, 2012年9月,国際会議proceedings)。 (3)2011年に国際学会で報告した結果をフルペーパーに編集しなおし、査読が通り下記に掲載された(Sasaki, H. “Information Productivity® of All Listed Companies in Japan, International Journal of Japan Association for Management Systems Vol. 4, No.1, pp. 37-42,2012年11月)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度は、予定通り文献サーベイの実施を行い、その結果を包含した学会報告を2件、いずれも海外で報告を行うことができた。また、前年度行った海外学会報告の成果をフルペーパーにまとめなおし、査読を通し掲載することができた。2012年度の予定は海外での学会報告1本であったので、この点において予想以上の成果を上げることができた。 これらの成果のとりまとめに注力してきた反面、当初本年度に予定していた新しい年度の(震災後を把握するための)企業業績の収集、中小企業へのサーベイ(アンケート調査)は未完に終わっている。その理由は、本年度、製造業やIT産業のイノベーションが進み、経営成果(業績)の収集をいつ行うことが適切か(今年度か来年度か)その見極めが必要と考えたからである。またその間、政権が民主党から自民党に移り、日本経済は転換期に差し掛かり、さらに大きな変動も現れてきた。 以上の推移を見守りつつ、本年度後半は、多くの業界を巻き込んで新しいイノベーションと企業行動の変化を引き起こしつつある「ビッグデータ」に注目し、当リサーチを集中的に行った。具体的には、90年代以降のITイノベーションと現在イノベーションの初期段階から成長期に向かいつつある「ビッグデータ」イノベーションの普及過程の違いについて、膨大な報道記事と関連文献データを網羅的に収集し、定量的に分析した。また、2013年3月に、別予算で米国のマイクロソフト、オラクル、アマゾンなどの本社を訪問し、イノベーションの方向性や技術動向について、詳しく知る機会を得た。現在(2013年4月時点)、それらの結果をまとめつつあるところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究を開始した2012年度に、日本企業のメイクオアバイ・ディシジョンに大きな影響を及ぼす変化が次々と起きた。一つ目は、いくつかの新しいテクノロジーのイノベーションの普及が起きつつあることである。いわゆる「ビッグデータ」のイノベーションが成長期に入り、多くの業界の企業行動の変化、とりわけ経営管理、マーケティング活動の効率性が大きく変化しようとしている。また、3Dプリンター・テクノロジーに代表される新しい技術の台頭により、製造業の設計・製造工程の大幅な効率性の実現も可能になってきた。二つ目は、政権交代とアベノミクス効果により日本経済の潮目が変わったことである。現在(2013年4月時点)は、株価の上昇、円高から円安へのシフトなど、経営環境のドラスティックな変化が起きている。 本研究では、とくに製造業とITサービス産業に注目しているが、上記の大きな環境変化を無視することはできない。そこで、これらの動向に注目しながら、本研究を進展させていくことにしたい。本年度後半から、すでにビッグデータの文献リサーチを完了し、従来のITイノベーションとの違いについての分析に現在集中的に取り組んでいるところである。 今後も、こうした世の中の変化や技術動向を踏まえ、そこに焦点を当てながら実証研究を進めていく。なお、本年度未実施であったアンケートをどの範囲でどのような形で実施するかについて再検討し、これを進展させていきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在、経済環境の劇的な変化に遭遇しており、日本社会は積年の課題であったデフレ脱却に向かおうとしている。技術面でも、ビッグデータのソリューション、クラウドコンピューティング、3Dプリンター、BYODなどの技術が普及過程に入り、急速に拡大している。これらが企業の生産性に大きな影響を及ぼすことは明らかである。これらの進展や動向を見極める必要があると考え、本年度は企業サーベイ(アンケート調査)を行わず、来年度に延ばすことにした。 そこで、次年度は、今年度未実施となったアンケート調査を行い、そこに予算を使うことにしたい。まず、今年度準備を進めていた企業向けのサーベイについて、来年度どのような形で実施するかについて検討し、再スケジューリングする。今年度後半の経営環境の大きな潮目の変化を取り入れ、また、上記のような新しいイノベーションの普及過程に注目しながら、どのような範囲、どのような内容で行うことが最善かを検討し、効率的かつ効果的な企業サーベイを実施していくことにしたい。
|
Research Products
(3 results)