2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災前後の内製化・外部調達・アウトソーシングに関わる企業行動の変化
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24530427
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
佐々木 宏 立教大学, 経営学部, 教授 (80268482)
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Keywords | 効率性 / イノベーション / ビッグデータ |
Research Abstract |
平成25年度は、下記の3件の成果が得られた。 1、ビッグデータ時代のデータアナリティクス(日本管理会計学会第1回関西・中部部会報告:平成25年6月15日、甲南大学岡本キャンパス)という題目で報告を行った。ちょうど報告月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」では、アベノミクスの「成長戦略」の柱としてITが位置づけられ、IT利活用として「ビッグデータ」が挙げられている。ビッグデータによるイノベーションは、企業活動の生産性向上などの業績改善にどう反映するのかについて、IT投資やコスト・マネジメントなどの視点から検討した。 2、Big data trend and industry-specific solutions in Japan(7th International Academic Conference, The International Institute of Social and Economic Sciences, Prague: 平成25年09月) という題目で国際学会報告を行った。ここではガートナー社の提唱するハイプサイクル・モデルを使い、日本のビッグデータ・イノベーションがハイプサイクルの「生産性の台地(Plateau of Productivity)」に至る、どの段階にいるかを議論し、最新事例の紹介を行った。 3、情報経営研究とリファレンス・ディシプリン問題(日本情報経営学会誌,Vol.34, No.2,pp.18-27.)に論文を掲載した(平成26年2月)。本論文では、これまでのハイテク・トレンドの普及と実証研究とのタイムラグを定量的に分析した。その中で、現在進展中のビッグデータについても取り上げ、これまでのトレンド推移と今後の予測を実施した。 3つの成果により、ビッグデータ・イノベーションと業務効率性向上との関連の実証の必要性と焦点が明確化された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を開始してから(平成24年度~25年度)、東日本大震災前後の日本企業の企業行動の変化(とくにアウトソーシングなどの戦略と生産性の変化)について、中小企業も含めたアンケート調査を行う準備を進めてきた。しかし、その間、独立行政法人経済産業研究所(RIETI)、その他民間機関などから本研究に極めて関連の深い成果が相次いで報告された。とくにRIETIは、日本を網羅する大規模パネルデータの蓄積があり、その規模を超える類似の調査は難しい状況になっている。一方、アベノミクスの前後で日本の経済状況が一変してしまい、震災前後の純粋な比較が困難になってしまったことや、現時点(平成25年3月決算期)を対象にした業績データでは、アベノミクス効果が出てくる微妙な過渡期にあたり、データ収集時期の問題にも直面している。 平成25年度には、調査会社をいくつか当たり、ほぼ1社に絞り込み本調査に関する打ち合わせを行ってきた。しかし、上記の状況に照らして、最終的に調査時期を平成26年度にずらし、内容も再考するほうが賢明であると結論づけた。 そこで、再度既存研究を再調査し、現時点でどのような課題が残されているのかを再度明らかにしながら、実証モデルの再構築とアンケート調査の実施を行うことにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」のところで述べたが、本研究テーマである東日本大震災前後の日本企業の企業行動の変化(とくにアウトソーシングなどの戦略と生産性の変化)について、研究開始後、日本経済の状況が劇的に変化し(アベノミクスの登場と実施)、また別機関より関連研究として新しい成果が次々に出てくる状況に直面している。この状況では、当初の目的は達成できない。そこで、文献レビューの再実施とともに、に新しいフレームワークで企業へのアンケート調査を実施し、成果を取りまとめとめていきたい。 テーマ自体の変更は不要と考えるが、内容としては、アベノミクスの第三の矢といわれる成長戦略に沿った形の検証が必要になってきている。そこで、対象とする企業行動について絞り込みを行い、研究の焦点を明確化していく。具体的には、大震災以降、実務界のトレンドとなったビッグデータやクラウド・コンピューティングなどのハイテク・イノベーションが企業の生産性向上をもたらす可能性に注目し、それらのイノベーションに対する企業行動と、それによる業務効率性、事業成果への転換に的を絞っていきたい。その理由は、この点に関する学術的な実証研究は少なく、実務界への研究成果のフィードバックも期待できるからである。 1、アンケート調査実施 日本企業は3月決算が多く、夏以降に新しい業績がデータとして反映されてくることを考慮しつつ、平成25年度に打ち合わせを重ねてきたリサーチ会社とすり合わせ、実施時期を模索する。 2、調査結果の取りまとめと論文投稿 アンケート調査の分析結果を論文に投稿するなどして、最終成果を取りまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経済状況の変化を勘案し、研究計画を変更し、昨年度(平成25年度)に実施する予定であったアンケート調査を1年繰り越して、平成26年度に実施する。 次年度使用額の差異は、前年度実施予定として見積もったアンケート調査を繰り越したことによる。
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