2013 Fiscal Year Research-status Report
マンガビジネスのグローバル戦略-シナジーを生み出す事業システムの解明-
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24530446
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 美弥子 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30333587)
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Keywords | マンガビジネス / ビジネスシステム / グローバル / 事業間シナジー |
Research Abstract |
本研究の目的は,マンガビジネスの国際展開におけるシナジーを生み出すグローバル戦略を解明することである.具体的には,(1)本国である日本と進出国ごとの事業間調整の解明,(2)国内市場も含めた国際市場全体,つまり国際展開におけるシナジーを生み出すグローバル戦略を明らかにしていくことである. 当初の実施計画では,米国と中国,韓国での聴き取り調査を行い,そこから得られた発見事実をもとに,日本で各事業の海外担当者に3カ国での調整に関する追加的な聴き取り調査を行う予定であったが,スケジュール調整ができなかったため,日本企業およびマンガ関連の団体への聴き取り調査をもとに,分析を行った. 聴き取り調査の主な内容は,①デジタル化にともなう事業の変化,②事業領域の拡大にともなう事業間(企業間)関係の変化である. ①の分析結果として,コミック事業では,作品の延命化や在庫にかかる費用の削減などの効果が期待できる一方,海賊版による損失の増加という問題が深刻化している.アニメ事業では,製作費が高額であるため,CGは劇場アニメの製作やテレビアニメのオープニングなどの部分的な活用に留まっている.また,両事業とも,デジタル化への顧客の移行や拡大が進んでいないことも明らかになった.全体を通しては,デジタル技術の普及に比べて,デジタルを活用した事業の拡大は進んでいないことが解明された.②については,製作委員会方式による作品が増加しており,委員会に参加する企業単体でみると,作品あたりのリスクを削減し,多数の作品に関与して,利益を確保しようとする傾向が明らかになった. これらの分析内容については,2本の論文にまとめ,発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本企業の聴き取り調査は,予定通り実施し,分析結果は論文2本にまとめた.一方,当該年度に予定していた海外市場に関する聴き取り調査は,スケジュール調整の問題により実施できなかったため,来年度に調査を行い,分析を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には,まず,平成25年度に実施できなかった海外調査を行い,日本と進出国ごとの事業間調整の解明および,国際展開におけるシナジーを生み出すグローバル戦略を明らかにしていく.なお,これらの分析結果は論文にまとめ,学会で報告する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外調査が実施できなかったため,次年度使用額が生じた. 次年度使用額は,当初の予定通り,海外調査を行う旅費として使用する.
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