2013 Fiscal Year Research-status Report
日本・台湾ビジネスアライアンスと中国・台湾の深まる経済統合との共進化プロセス
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24530485
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
張 喬森 日本大学, 商学部, 准教授 (10318181)
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Keywords | 経済統合 / ビジネス連携 / 不確実性 / 中国 / 台湾 / 中台経済統合 / 日台ビジネス・アライアンス / 国際政治経済 |
Research Abstract |
平成25年度の研究は理論構築に関する二つの作業を中心に進めた。一つは台湾と中国の経済統合の深化。まず、国際経済学理論の従来の重要研究テーマの延長で、対中貿易による利益の増大と所得分配や産業構造との相関を考察した。さらに、経済統合における台湾企業の中国進出の役割と変化に注目し分析を行った。そこで、中国の特有な政治経済システムによる台湾系企業への影響と変化、また、中国の政治的意図を含む政策的な台湾への接近および台湾側の反応と対策のメカニズムの解明を行った。それは、経路依存の概念のみでは解釈が出来ず、その制度的な不確実性は不連続性の性質を持ち、パラダイム・シフトの潜在本質が含まれている。 もう一つは日本企業と台湾企業の国際ビジネス連携の理論構築に関する作業である。これを、双方の企業戦略構築の一環として捉え、市場原理に沿って利益の最適化分析を行った。従来の仮説では日系企業が中国の政治経済リスクを避け、台湾企業を通し中国に接近する概念が主要であり、それの適応を考察した。つまり、不確実性を最低限にした上、要素コストの低下と規模の経済性によるビジネスの連携行動である。しかし、この従来の概念には限界があり、中国の特有なビジネス環境においては、特に、である。企業の規模、市場及び産業での競争により、連携のタイプと連携における役割と機能への連動も分析に入れることが重要課題であることを判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の研究は本務校の命令で関わった研究業務により研究に遅れが出たが、本年度の研究進行がスムーズに行ったため、大幅に改善された。しかし、なおやや遅れているが、研究の基礎作業がほぼ完了したので、最終年度の研究進行は予定通り完成することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
経営政治不確実性モデルに基づき、中国―日本―台湾のコンテキストにおける共進化の概念モデルの妥当性を確認するため必須なデータセットを引き続き収集・整理することが肝要である。中台経済統合と日台ビジネス連携との共進化分析は、統合の特定の時期のみでなく、経済統合が進化する中でのビジネス連携の分析を行う。経済統合の深化および制度要因による派生的な不確実性がビジネス連携の形成・適応・進化にどのようにかかわっているのかを、理論展開を行う。その成果の一部は国内外の学会に発表することが期待される。既に国際的な学会(IFSAM, International Federation of Scholarly Associations of Management)の世界大会にて発表予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の研究は本務校の命令で関わった他の研究業務を遂行するため、未使用額が大幅に発生し、本年度に使用する研究費が生じた。本年度の研究進行がスムーズに行ったため、未使用額がかなり減ったが、少しは次年度に使用する研究費が生じた。 中台経済統合とビジネス連携の理論構築をさらに推進させていく予定であり、特に、共進化の概念モデルの妥当性を確認するため必須なデータセットを引き続き収集・整理することが肝要である。現段階の研究結果の一部を国内外の学会の場に発表し、フィードバックをもらい、理論とモデル化をより精密かする。最終年度の研究進行は予定通り完成することが期待される。
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