2012 Fiscal Year Research-status Report
家業意識が投資意識及び事業継承に及ぼす影響に関する国際比較研究
Project/Area Number |
24530523
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
柳 到亨 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (00437451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 相鐵 流通科学大学, 総合政策学部, 教授 (10281172)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 日本 / 韓国 |
Research Abstract |
本研究が取り組んでいる主な概念は、「家業」、「事業継承」、そして「投資」である。その概念解明は、東アジアにおける商店経営と家族との関係を考えるうえで重要である。そう考える2つの理由は、第1に、商店に対する商人が持つ「家業意識」はその商店を「事業として継承する意識」に影響を与えると考えるからである。第2に、同じく、家業は、その商人が行うさまざまな投資活動の程度やタイプ(出店、不動産、商店街等)にも影響を与えると考えるからである。最終的に、この家業・事業継承・投資の概念間の関係を明らかにすることが本研究の主な課題となる。 2012年度においては、第1段階として、大きく次の2点について理論研究を行った。すなわち、①日本の商業者が大切にしれきた家業という概念についての理論研究、そして②事業継承に関する理論研究である。 このような理論研究と同時進行で、日本と韓国でフィールドワーク(視察およびヒアリング調査)を行い、実証研究の形でまとめた書籍を出版した。『小売商業の事業継承-日韓比較でみる商人家族』(2013)、柳到亨、白桃書房である。 日韓の小売商業における事業継承の意識や現実の違いに着目し、日本の「事業継承」に研究の焦点をあてて、事業継承意志を高揚させるメカニズムを日韓小売商業者の視点から理解し、「後継者難」という商業問題を理論的および実証的に解明したものである。 『小売商業の事業継承-日韓比較でみる商人家族』では、研究全体の計画において大事な概念、すなわち、家業、事業継承、そして投資のうち、中核概念と位置付けている「事業継承」という概念を理論的・実証的に解明した。日本商業学会においても学術的財産として評価されることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
儒教圏に属している東アジア諸国(日本、韓国、台湾、中国)において家族従業ないしは、より一般化していうと商店経営と家族との関係は、共通した特徴を持っているのではないかという研究当初の暗黙的な前提があった。 しかし、東アジア諸国に関する研究を進むことにつれて、共通することはもちろんだが、異なる点もあることが分かった。比較的に類似した文化圏とみられる東アジア諸国においても、同質性のなかに異質性が入り交っているというのは考えてみれば当然のことかもしれない。 問題はないが同質でなにが異質なのか、その点を明らかにすることであった。昨年の成果を通じて、「家族と商業」との関係、「商業と事業継承(家族)」との関係についての理解は一層深まったと考えている。 2012年度の研究成果は、本研究が取り組むべき課題「家業」ないしは「家業意識」概念についての理論的背景を探ることの一環であった。「家業」ないしは「家業意識」は、東アジアにおける商店経営と家族との関係を考えるうえでひとつのカギとなる概念である。商店に対する商人が持つ「家業意識」はその商店を「事業として継承する意識」に影響を与えるからである。これらの論理的な経験的妥当性は、『小売商業の事業継承』(2013)にて示されている通りである。 2012年度の研究成果によって得られた本研究の学術的重要性は、「事業継承」、「家業意識」について、日本・韓国両国を国際比較調査分析を行うことにより、日本商業の特殊性を理解する独創的研究として位置付けられるという点である。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、「家業」、「事業継承」、「投資」理論研究と同時進行で、東アジア諸国(日本、韓国、台湾、中国)でフィールドワークをおこない、その結果に基づきながら理論的研究をさらに深耕する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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