2013 Fiscal Year Research-status Report
家業意識が投資意識及び事業継承に及ぼす影響に関する国際比較研究
Project/Area Number |
24530523
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
柳 到亨 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (00437451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 相鐵 流通科学大学, 総合政策学部, 教授 (10281172)
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Keywords | 国際情報交換 / 日本 / 韓国 / 中国 / 台湾 |
Research Abstract |
本研究が取り組んでいる主な概念は、「家業」、「事業継承」、そして「投資」である。その概念解明は、東アジアにおける商店経営と家族との関係を考えるうえで重要である。そう考える2つの理由は、第1に、商店に対する商人が持つ「家業意識」はその商店を「事業として継承する意識」に影響を与えるからである。第2に、同じく「家業」は、その商人が行うさまざまな投資活動の程度やタイプ(出店、不動産、商店街)にも影響を与えると考えるからである。最終的に、この家業・事業継承・投資の概念間の関係を明らかにすることが本研究の主な課題になる。 2013年度においては、前半には東アジア諸国(韓国、中国、台湾)でのフィールドワークの実施、後半には、初年度の理論研究、2年目のフィールドワークを踏まえたうえで、実証研究に向けた研究を行った。この実証研究が形でまとめた論文が柳到亨・横山斉理「東アジアの卸売商業集積における家業意識についての国際比較」和歌山大学経済学会『経済理論』第375号49-67頁である。 この研究では、東アジア(日本・中国・韓国・台湾)中小規模の卸商業集積を対象に、そこでビジネスを行う商業者の経営者意識や家業意識について考察を行った。東アジアを対象とする質問票調査からえられたデータを整理し、各国の商業の状況を詳しく述べている。 続いて、2013年12月14-15日に開催された日本商業学会第4回全国研究報告会にて、「日韓比較でみる小売商業の事業継承」という題名で発表した。特に、本研究の全体計画において中核概念として位置付けている「事業継承」を理論的・実践的含意を述べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
儒教圏に属している東アジア諸国(日本・中国・韓国・台湾)において家族従業(商店経営と家族の存在が重要視される従業形態)は共通した特徴を持っているという前提で本研究が始まった。しかしながら、東アジア諸国における理論や現地調査を重なることによって、共通点と異質点が存在することが分かった。 2012年には、「事業継承」という概念から日本・韓国両国を国際比較調査、分析したが、2013年には、「家業意識」という概念から東アジア(日本・中国・韓国・台湾)の4か国を国際比較調査分析を行った。この実証分析の結果により、より日本商業の特殊性を理解する独創的な研究として位置付けることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、「家業」、「事業継承」、「投資」理論研究と同時進行で、東アジア諸国(日本・中国・韓国・台湾)でのフィールドワーク調査で得られたデータを解釈することとともに、質問調査票に基づいた統計的分析を通じて、主な3つの概念化(家業・事業継承・投資)の関係に対する理論化を目指す。
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