2012 Fiscal Year Research-status Report
未利用資源を対象とした一次産品の有用性と流通の可能性に関する実証的考察
Project/Area Number |
24530525
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
石原 慎士 石巻専修大学, 経営学部, 准教授 (20364325)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 東勲 石巻専修大学, 経営学部, 准教授 (50511755)
鈴木 英勝 石巻専修大学, 理工学部, 准教授 (80306068)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 未利用資源 / 地域ブランド / 付加価値形成 / 異業種連携 / 食品開発 / 被災企業支援 |
Research Abstract |
平成24年度は、未利用資源の成分分析とともに、市場における商品流通の状況や他地域における取り組みについて調査した。未利用資源の成分分析に際しては、青森県、宮城県の生産者、事業者と連携研究体制を構築し、定期的に意見交換会を開催するなど、生産者や事業者の意向や要望も踏まえながら作業を行った。分析作業では、サバの加工時に排出される中骨に付着する魚肉に着目し、エキスを抽出する方法を模索した。醸造会社および水産加工会社と連携しながら試験事業を実施した結果、高濃度のサバエキスを抽出することに成功した。 また、本研究チームでは、サバエキス抽出後に残置した中骨に着目し、サバカルシウムの生成を試みた。サバカルシウム生成に関する実験では、中骨を800度~1100度で燃焼し、残った中骨を粒子状に砕く実験を行った。粒子状になった中骨は、かつて製麺業で卵殻カルシウムが使用されていたことを踏まえ、ラーメンの製麺に生かすことにした。ラーメンの製麺に際しては、宮城県石巻市の製麺会社(被災企業)と連携し、集落営農団体が生産する地粉(品種:ユキチカラ)を使いながら生産に関する実験を試みた。その結果、従来までのかん水を使用した麺よりもコシの強い(弾力性が強い)麺が完成した。この麺が持つコシの強さについては、現在、科学的に分析を進めている。 一方、商品流通調査では、未利用資源を活用した商品の流通状況について調査するとともに、上述した試作品(サバエキスおよびラーメンの麺)の流通適用性について、東北地方や関東地方の小売事業者の協力を得ながら分析した。試作品の流通適用性に関する調査については、平成25年度も継続的に取り組んでいく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究活動については、対象魚種・産品の一部変更は行ったものの、未利用資源を科学的に分析し、試作まで着手できたため、研究はおおむね順調に進んでいる。また、産学および異業種連携による研究推進体制が構築できたことは、平成25年度以降の研究を推進する上で有効であり、未利用資源から生成する商品の市場・流通適用性を評価する際においても有益な体制である。 また、産学・異業種連携による研究体制は、未利用資源に関する情報を集約する上で有効であり、目下のところ、一次産品を中心に5品目の分析・試作化を計画している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、24年度に実施した研究活動の市場・流通適用性について調査し、試験販売活動や消費者に対する調査活動を通して、未利用資源の有効性について評価していく予定である。さらに、一次産品を中心とした未利用資源(5品目)については、付加価値を形成するために成分分析を行いながら試作を繰り返し、さらに試験販売を繰り返しながら流通適用性について検証していく予定である。 本研究では、このようなスキームによる実証事業を繰り返しながら、未利用資源を対象とした商品開発の手法の有効性について検証していく予定である。なお、最終年度となる平成26年度は、未利用資源を適用した商品開発の手法についてまとめ、その知見を論文・書籍等で公表していくことを想定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に繰り越した次年度使用額(1,489円)については、データの整理等に使用するファイル類の購入に使用する予定である。
|