2013 Fiscal Year Research-status Report
社会的排除の地域的顕在と変容―貧困・生活不安定層の地域形成と労働=生活過程
Project/Area Number |
24530640
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西田 芳正 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10254450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妻木 進吾 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (60514883)
内田 龍史 尚絅学院大学, 総合人間学部, 講師 (60515394)
堤 圭史郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (70514826)
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Keywords | 社会的排除 / 被排除地域 / 被差別部落 / 児童福祉施設 |
Research Abstract |
当初の計画では、国勢調査データ分析について大阪府のプロジェクトで求められる分析結果を提供するのと平行して、初期の分析結果報告を学会で行い、加えて、国調データ分析で確認された地域も含めた被排除地域のフィールド調査に着手する予定であった。 このうち、国勢調査データ分析については、総務省から大阪府を経由してデータを入手することができたのが今年の5月にずれ込み、そこから加工、分析作業に着手した。今年度は、大阪府人権室からの依頼を受けた、旧同和地区および「課題を有する地域」に関する基礎的なデータ整理を行うにとどまった。フィールド調査については、上記作業に膨大な時間と労力をとられたため、今年度中に実施することは困難であった。また、計画では前年度中に学会で中間的な報告を行うとしていた児童自立支援施設入所者の記録分析について、やはり膨大なデータ量であったことから加工・分析に手間取り、ようやく今年度秋の社会学会大会において、家族背景を中心とした最初の発表を行った。 両調査ともに、データの性質上、研究者自身がその作業に当たる必要があるため、分析と結果の公表はごく一部にとどまっているというのが実態である。 国勢調査データの分析は、直近のものについて終了した段階であり、データの利用期限の中で、1980年度以降のデータすべてを分析にたえるかたちに加工する作業を急がなければならない。次年度は研究分担者を拡充して作業を急ぐとともに、学会報告および論文の形で成果を公表する。児童自立支援施設入所者記録についても、地域に焦点化した分析結果を学会で報告する。それと同時に、それらの分析から浮かび上がる被排除地域のケーススタディも進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の柱である国勢調査データの分析は、データが膨大なことに加え分析作業に入るまでの加工段階で多大な時間と労力が不可欠であり、また、データの性質上、研究者自身がその作業に当たる必要があるため、分析と結果の公表はごく一部にとどまっている。 児童自立支援施設入所者の記録分析についても同様である。
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Strategy for Future Research Activity |
国勢調査データ分析については、同調査データの分析を蓄積してきた大阪市立大学島和博教授に次年度から研究分担者として加わっていただく。入手しているデータは1980年以降のすべての個票データ(大阪府域)という膨大なものであるが、研究体制を強化することにより、データの加工、分析作業のテンポを速めることが可能である。秋期の学会において、旧同和地区および「課題を有する地域」(=社会的排除が地域的に顕在化したエリア)に関する概括的な発表を行う予定である。 また、児童自立支援施設調査についても、分析の観点を地域にしぼった学会発表を秋に行う予定である。 データ分析により確認された被排除地域のケーススタディについても、可能な限り進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で分析対象とするデータが膨大で厳格な取り扱いが求められることから、分析に至る加工の段階で多くの労力と時間を費やすこととなった。そのため、フィールド調査、成果報告のための学会参加を行う時間的余裕がなかったことが残額が生じた主な理由である。人件費・謝金の支出が大幅に少ない点も同様の事情による。 データ加工がある程度進み、補助者に作業を委ねることができる部分が拡大する。フィールド調査に関わるテープ起こし作業などにも人件費が必要となる。次年度使用額については、これらの使途を予定している。
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