2013 Fiscal Year Research-status Report
辺野古・新基地建設に係る住民意識と反対運動参加者のライフヒストリーに関する研究
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24530655
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
鐘ケ江 晴彦 専修大学, 文学部, 教授 (20129919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 あさこ 専修大学, 文学部, 兼任講師 (10424318)
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Keywords | 辺野古新基地建設 / 住民意識 / 新基地建設反対 / 賛否の変化 / 辺野古の反対運動の評価 / 反対運動の影響 |
Research Abstract |
4月~7月は、昨年度実施した名護市民意識調査のデータ分析と報告書原稿の執筆を主に行い、8月に『名護市民の地域問題に関するアンケート調査報告書』(鐘ヶ江晴彦・服部あさこ著、98頁)を印刷した。 これにより以下のことが明らかになった。有効回答のうち77%が辺野古新基地建設に反対である。97%が関心があると回答している。関心度が高い人ほど辺野古新基地建設に反対である度合いが強い。83%が辺野古新基地建設問題の経緯を認知している。6割近くが辺野古新基地建設への賛否が3~4年前と比べ変化したとしているが、その大部分は賛否の強さや理由の変化である。辺野古新基地建設への賛否が変わった回答者は、反対から賛成への変化の方がその逆よりも多い。88%は辺野古における新基地建設反対運動について知っている。辺野古の新基地建設反対運動については、積極的に評価しているが約45%、目的には賛成だが問題がが約37%、まったく評価できないが約10%である。辺野古新基地建設問題への関心度の高さと辺野古における新基地建設反対運動に対する肯定的な意見・態度の強さとは正の相関を示す。辺野古新基地建設への賛否と辺野古における新基地建設反対運動に対する意見・態度とは強く関連しているる。辺野古における新基地建設反対運動の辺野古新基地建設に対する賛否への影響は、4割が「あった」と答えている。辺野古新基地建設問題への反対姿勢のある部分は、辺野古での新基地建設反対運動に影響されていると言える。 8月中この報告書を、沖縄の関係者と予めを申し出た調査回答者に送付すると共に、9月7日に開催された日本解放社会学会代29回大会で、鐘ヶ江が「辺野古新基地建設に関する住民意識の規定要因」を報告した。 辺野古における現地調査は4月、8月、9月、10月、2月、3月に実施したが、運動の参与観察調査が中心となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的1の、「住民意識調査によって、辺野古の新基地建設反対運動を周辺地区住民および名護市民はどのように捉えてきたのか、その捉え方は運動の経過の中でどのように変化したのかを明らかにする。また、運動に関する諸情報が、住民の「普天間移設問題」や地域の政治・経済問題についての意見の形成・変容に与えた影響を明らかにする」は、昨年度実施した名護市民を対象にした意識調査の本年度における分析・報告書作成によって、ほぼ所記の目的を達成した。 しかし、研究目的2の「辺野古の新基地建設反対運動に県内や県外から継続的にやってきて参加する人のライフヒストリーを聞き出し、辺野古の新基地建設反対運動への参加が各人の生活史の中にどのように位置づいているのか、運動参加を促した要因は何か、この運動への参加によって人生がどのように変わったか等を明らかにする」は、辺野古の座り込みへの参加者が少数の固定メンバーと一時的な来訪者になってしまったため、あまり進んでいない。 研究目的の3の「「新しい社会運動」論との係わりで辺野古の新基地建設反対運動の位置づけを明らかにし、それを踏まえての社会運動論の再検討を同時におこなう」は、2014年度に集中的に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であるので、これまで不十分であった、研究目的2を達成するための、辺野古の運動の中心メンバーとは言えないが継続的に参加している人へのライフヒストリー・インタビューを積極的に行うと共に、研究目的3を達成するための理論的検討、そのための研究会を精力的に実施する。 それらによって、3年間の研究をまとめ、新たな研究課題として浮かび上がってきた沖縄県民の「沖縄差別」意識の実証的研究に繋げて行きたい。 本研究を遂行する上の課題は、「現在までの達成度」に記した辺野古の座り込みの参加者の現状と、本年6月以降予想される、辺野古の新基地建設をめぐる状況の大きな変化と反対運動の緊迫化である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として旅費が、以下の理由により使い残した。 服部あさこの出張が、台風の影響により短縮せざるを得なくなった。鐘ヶ江晴彦の出張旅費の内宿泊費を、規定より大幅に安い実費で清算した。 次年度使用額1,510,360円の使用計画は、旅費1,250,000円、人件費・謝金150,000円、物品費10,000円、その他10,360円である。
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Research Products
(5 results)