2015 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪報道における問題の顕在化と受け手の報道評価に関する実証的研究
Project/Area Number |
24530658
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
大谷 奈緒子 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50364716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島崎 哲彦 東洋大学, 現代社会総合研究所, 客員研究員 (00287559)
薬師寺 克行 東洋大学, 社会学部, 教授 (00611378)
戸高 由美 (四方由美) 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (10316200)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 犯罪報道の実際 / 受け手の報道評価 / マス・メディア報道 / フレーム分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の犯罪報道において、犯罪被疑者、犯罪被害者の扱いは、社会規範や法制度の変化、および社会問題とされたいくつかの事件報道を経て変化しながら今日に至っている。しかしながら、被疑者、被害者の名誉毀損、プライバシーの侵害等に関わる「報道被害」は依然問題となっており、容疑者の犯人視報道、実名報道の問題点などの指摘がある。他方で、このようなマス・メディア報道は、人びとの内部に構成される犯罪像へ影響を与えている。 そこで本研究では、マス・メディアの犯罪報道の実際を分析・把握することで、犯罪報道の問題点を明らかにするとともに、受け手の報道に対する評価や意見に関する質問紙調査を実施し、受け手が考える犯罪報道と犯罪像を検討した。この研究によって、マス・メディアの送り手・受け手の双方の視座から犯罪報道について捉えることが可能となり、現在の犯罪報道の諸問題と、それらの諸問題が生じた過程や背景を解明し、問題解決の方向を明らかにすることができる。 具体的な研究手法としては、送り手の分析については、研究期間中に発生した、殺人事件と政治資金問題(3事件を分析対象として選定)の、新聞、雑誌、テレビニュースの各報道を分析し、報道のフレームや報道の問題点を明らかにした。他方、受け手の分析については、首都圏50キロ圏内に居住する男女1,000人を対象に実施した質問紙調査の結果を分析することで、受け手による報道に対する評価や意見、受け手が持つ犯罪不安(犯罪像)、分析対象となった各事件の報道についての意見などから、犯罪報道の問題点と受け手の犯罪像を検討した。
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