2013 Fiscal Year Research-status Report
満洲国間島省の学校教育制度の成立と地域社会変容に関する社会史的研究
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24530672
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
花井 みわ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (70578476)
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Keywords | 満洲国間島省 / 間島省の特殊性 / 朝鮮人教育 / 間島普通学校 / 延辺朝鮮族自治州 / 複数民族 / 少数民族教育 / 近代学校制度 |
Research Abstract |
本研究の課題は、満洲国間島省(現在の延辺朝鮮族自治州のほとんどの地域)の学校教育制度がどのような歴史過程を経て形成されたかを間島地域社会の変容と朝鮮人の近代教育の受容の両方向から総合的に明らかにすることである。 今年度、満洲国間島省の学校教育制度の成立過程について歴史文献資料から再検討と考察を行った。延辺朝鮮族自治州へ行き、満洲国国民学校と国民優級学校で教育を受けた体験者を対象に、学校教育制度と内容に関してオーラルヒストリー手法による聞き取り調査を実施した。歴史文献資料の分析と、教育体験者に対する聞き取り調査を通して、次のようなことが明らかになった。 1)間島省の初等学校教育において、日本側施設の普通学校はモデル学校として、朝鮮人学校教育に対して大きな役割を果たした。1938年、満洲国の新学制実施以後、都市部の朝鮮人経営の学校、日本人経営の学校、キリスト教会経営の学校は、漸次普通学校に合併された。農村部の朝鮮人学校は、普通学校の教育支援を受けていた規模が大きい朝鮮人学校に合併された。合併後、普通学校を含むすべての学校は満洲国県立国民学校及び県立国民優級学校となった。 2)間島省では、人口の8割を朝鮮人が占める間島省の特殊性を考慮して、民族別の学校教育を行った。朝鮮人の教育に対する意識は高く、学校教育に対する期待が大きかった。間島省朝鮮人初等学校就学率は、1936年には、46.6%であったが、1941年には62.7%になった。 複数の民族が経営する間島省の朝鮮人学校教育は経営、学制、教育内容において統一されなかったが、新学制実施以降、日本側施設の普通学校を中心に朝鮮人私立学校が統合された。間島省の学校教育制度の成立において、普通学校が朝鮮人学校教育をリードしたことを明らかにしたことにおいて本課題は重要な意味を持っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
満洲朝鮮人教育関連の文献資料の収集を行い、満洲国期教育体験者に関する聞き取り調査を行った。ただし、中国国内文献資料公開事情のため、一部文献資料の調査が困難な場合があった。
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Strategy for Future Research Activity |
満洲国間島省の基礎資料を幅広く調べ、国民高等学校卒業生に対する聞き取り調査を実施し、間島省の中等教育の展開過程と地域社会の変容について更に検討する。
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