2013 Fiscal Year Research-status Report
ホームレス支援のためのデータベース共有化に向けた基礎的研究
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24530695
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土肥 真人 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (20282874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 周太郎 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (80530576)
杉田 早苗 東京工業大学, 社会理工学研究科, 助教 (90313353)
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Keywords | 貧困 / 社会的排除 / 差別 / ホームレス |
Research Abstract |
①川崎市のホームレス支援NPO「川崎水曜パトロールの会」の協力のもと、ホームレスの個人別データベースの構築・改良を継続している。具体的には、昨年 度追加した施設入所時の聞き取り内容データ(約800件)および巡回相談時の内容データ(約500件)の名寄せ作業、新たなデータとして巡回相談時の内容データ(約7000件)の整理・追加を行った。また、データベース構造上の技術的な問題点について検討し、改良を加えた。 ②データベース共有に関してホームレス支援NPOに行った調査を論文としてまとめた。また、川崎市が保有するホームレス関連の情報とのリンクの実現化に向けた検討を行い、川崎市のホームレス担当者との意見交換を行った。 ③ホームレス政策に関する海外調査に関しては、25年度はイギリス国ロンドン市でのヒアリング調査を実施する予定だったが、相手方とのスケジュール調整上2013年度の実施を断念し、26年度に実施することとした。本年度の海外調査関連の成果としては、24年度に実施したアメリカ合衆国ニューヨーク市およびサンフランシスコ市のホームレス政策に関するヒアリング調査を取りまとめ、学術論文としてまとめた。また22年度に実施したオーストラリア国ニューサウスウェールズ州が持つ「The Protocol for Homeless People」について考究した論文をまとめた。(北畠拓也「行政機関が締結する公共空間におけるホームレス・プロトコルの研究」2013年度東京工業大学社会工学科卒業論文)この論文は学術論文「行政機関が締結する公共空間におけるホームレス・プロトコルの研究」としてまとめ都市計画学会に投稿中である。このホームレス・プロトコルに関しては、2014年3月に台湾で開催された第9回パシフィックリム・コミュニティ・デザイン会議において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
川崎市の個人別データベースについては、新規データの入力方法の簡易化と名寄せ作業の簡便化、データベース構造の改良が継続的に必要であり、完成までには至っていない。また、データベース共有に関する調査結果からも、他団体とのホームレス情報の共有への意向は強くあるものの、実際には信頼関係や個人情報保 護への懸念もあり、その点の克服は相当な困難があることから、まずは自治体である川崎市とのホームレス関連情報の共有化を検討している状態である。25年実施予定だったイギリス国ロンドン市の行政組織、NGO組織へのヒアリング調査は、相手方とのスケジュール調整上、実施を26年度に延期することとした。2009、2012の海外調査について、2本の学術論文としてまとめ投稿、発表した。2014年3月に台湾で開催された第9回パシフィックリム・コミュニティ・デザイン会議に参加し、“The role and meaning of the public space in socio-spatial systems towards an inclusive community: Focusing on the ‘Protocol for Homeless People in Public Spaces’ in NSW, Australia”,を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、まず、川崎市が保有するホームレス関連の情報(生活困窮者関連施設が保有する情報、生活保護関連情報等)と川崎水曜パトロールの会の個人別 データベースとのリンクについて、その実現に向けた検討を進める。具体的には、川崎市担当者部署と個人情報管理や情報アクセス等に関する意見交換を継続し、関連施設との調整を踏まえた上で、実現のための課題の抽出とその解決策を明らかにし、川崎市への提案も行う。また、川崎市保有情報とのリンクを前提とした、個人別データベースの改良とデータの追加作業も継続して行う予定である。また26年度はイギリス国ロンドン市の行政組織3、NGO組織7へのヒアリング調査を行う。特に2012年のロンドンオリンピック時のホームレスの状況及び制度的対応について、2010年のヒアリング結果と対照しながら、明らかにしたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
横浜市のホームレス支援NPOとのデータベース共有を行うための情報入力、情報管理、システム運営などの経費を計上していたが、各団体は他団体とのホームレス情報の共有への意向は強く持っているものの、実際には信頼関係や個人情報保護への懸念からこれらの作業が進められなかった。これについてはまずは自治体である川崎市とのホームレス関連情報の共有化を検討している状態である。 イギリス国ロンドン市における海外調査は昨年度から本年度へと実施年度を延期した。。昨年度の未使用の旅費等は、本年度必要となる海外旅費等に当てることとする 個人別データベースの改良、データ追加作業に関わるアルバイト謝金、データベース改良に対する専門的知識の提供に対する謝金が必要になる。イギリス国ロンドン市における海外調査のための海外旅費等が必要となる。またこの成果をまとめ学術誌などに投稿、発表するための掲載料、国内旅費等も必要となる。
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Research Products
(2 results)