2013 Fiscal Year Research-status Report
スクールソーシャルワーカーの学校現場への定着に向けた総合支援カルテの開発
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24530746
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Research Institution | Toyama University of International Studies |
Principal Investigator |
村上 満 富山国際大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10555197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 泰子 富山国際大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00555188)
門田 光司 久留米大学, 文学部, 教授 (50269081)
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Keywords | スクールソーシャルワーク / エンパワメント / コンピテンシー / 定着支援 / 総合評価 / 尺度開発 / カルテ / 富山モデル |
Research Abstract |
2年度目にあたる平成25年度は、プロセス評価とするSSWerが保有すべきエンパワメントの確定と評価スケールの開発と実施に向けた具体的検討、アウトカム評価とするSSWerが身につけるべきコンピテンシー概念の具体的検討、コンピテンスシートの開発に向けた具体的検討を前年度に引き続き行った。具体的な成果としては、以下の3点である。 (1)前年度収集した国内外のSSWer等の論文の取りまとめ作業とソーシャルワーカーの評価尺度(日本語版)の開発の検討・・・医中誌等から「スクールソーシャルワーク」「コンピテンシー」「エンパワメント」「尺度開発」のキーワードを含むすべての論文のabstractをデータベース化し、レビューを作成した。またソーシャルワーカーのスケールを翻訳し、日本語版の検討を行った。 (2)SSWerエンパワメントスケールの尺度構成検討、SSWerコンピテンスシート項目検討、SSWerと教員との協働評価シートの本作成に向けたスクリーニングテストの実施・・・前年度検討したものについて、富山県社会福祉士会と富山市教育委員会との協力を得ながら、カルテ試案を現場の中で試用してもらい、より現場に即したカルテの改訂を図った。また、現任のSSWerや福井県立大学大学院生にスクーリングテストを実施し、検討を行った。 (3)現任SSWerとの実践研修会の開催と全国アンケート実施に向けた本格的な準備体制の構築(継続)・・・研究分担者である門田光司氏と富山県社会福祉士会子ども家庭支援委員会と連携し、2013年度スクールソーシャルワークシンポジウムとやま「子どもを取り巻く教育と福祉の協働を考える」を開催し、富山モデルの全国発信アンケートの実施に向けての実行体制を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4つの側面から「やや遅れている」理由を説明する。1点目の政治的要因からの評価については、「当初の計画以上に進展している」である。これについては、特に市教育委員会と県社会福祉士会との協働によるスムーズな実施体制に努めてきた。2点目の経済的要因からの評価については、「やや遅れている」である。2年度目も文献調査や概念の検討、尺度の構成等、内的な作業が多くなってしまい、適切な予算の執行が遅れてしまったことが考えられる。3年目に成果を残すためにも、スムーズな予算の執行を行うこととする。3点目の社会的要因からの評価については、「おおむね順調に進展している」である。富山県は今まさにSSWerの量的な評価よりも質的な評価が問われている。したがって、本研究を実施する問題意識と課題解決を図る意義は十分あり、富山から全国へ発信できる評価システムを本格的に構築できる環境にあるからである。4点目の技術的要因からの評価については、「やや遅れている」である。エンパワメントスケールやコンピテンスシートの本格的開発と全国実施にまでには至っていないため、早急に実行することとする。以上のことから、総合評価として、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
自己点検による評価にもとづいた結果、本研究の今後の推進方策については2点を挙げた。最終年度にあたる今後1年間の研究期間を充実させて、適切に本研究を推進させていきたいと考えている。まず1点目であるが、スケール等の最終的な開発作業を行うことである。具体的には、①SSWer導入のプロセス評価としている、SSWerが保有すべきエンパワメントの項目の確定と評価スケールの開発、②SSWer導入のアウトカム評価としている、SSWerが身につけるべきコンピテンシー項目の確定とコンピテンスシートの開発、③ケースに対するSSWerと教員の相互評価からなる協働評価シート項目の確定と開発、そして全国調査の実施である。また、これらの作業と併せて適切に予算を執行していくことで、速やかに最終年度の作業につなげていく。 次に2点目であるが、全国規模でのSSWer等への調査の実施と分析を展開させていくことである。予備調査をもとに、①SSWerエンパワメントスケール、②SSWerコンピテンスシート、③SSWerと教員との協働評価シートといった、各スケールやシートの最終的な素案を確定させ次第、全国約600名のSSWerや配置自治体に向け、「SSWerのエンパワメントや評価に関する実態調査」を行っていくものである。具体的には、(1)全国実施に向けての各県での実施のスケジュールの確定作業、(2)同意の得られた都道府県から、県・市教育委員会等に配布、(3)SSWerエンパワメントスケール等の回収作業とデータの整理および処理、(4)データの分析(因子分析等)をしながら、スケールの標準化、シートの標準化の検討、(5)必要に応じて富山、福岡間でモニタリング実施を繰り返しながらの確定作業が研究スケジュールとなっている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2年度目も引き続き、スクールソーシャルワークに関連する文献調査や概念の検討、スクールソーシャルワーカーの評価に関する尺度の翻訳や日本語版作成の検討、そして全国調査の実施に向けての大学倫理委員会の資料づくり等、様々な内的な作業が多くなってしまった。この作業に大きな時間をとり、結果的に全体の準備を滞らせ、適切な予算の執行を遅らせてしまったことが大きな要因と考えている。 (1)全国アンケート実施に向けた各県分の印刷と郵送業務等一式、(2)SSWerエンパワメントスケール等の回収作業とデータの整理および処理作業一式、(3)スケールの標準化、シートの標準化に向けた研究分担者との打ち合わせの旅費交通費、(4)SSWerエンパワメントスケール、SSWerコンピテンスシート、SSWerと教員との協働評価シートの最終成果物の印刷とCD-ROM化 - 「SSWerの総合支援カルテ(富山モデル)」の製作作業一式 -
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Research Products
(5 results)