2013 Fiscal Year Research-status Report
日常生活自立支援事業における「規定外支援」の背景分析と「地域連携モデル」の研究
Project/Area Number |
24530747
|
Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
宮川 淑恵 (濱島 淑恵) 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (30321269)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 真由美 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (90413301)
矢島 雅子 京都ノートルダム女子大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60581600)
|
Keywords | 日常生活自立支援事業 / 権利擁護 / 社会的孤立 / ソーシャルインクルージョン / 地域福祉 |
Research Abstract |
今年度は3つの調査を実施した。第1に、平成25年度、岐阜市で行った質問紙調査に続き、追加の聞き取り調査を行い、日常生活自立支援事業における多様な支援状況と利用者の生活実態について詳細を聞き取った。また、京都市において昨年度岐阜市で実施したものと同様の質問紙調査を実施し、さらに追加の聞き取り調査を行った。その中で多くの利用者の社会的孤立と生活問題の重層性の深刻さが確認された。また、日常生活自立支援事業の専門員と地域社会との協働による支援活動の中でソーシャルインクルージョンへとつながるケースもみられた。 次にこれらの調査結果について研究会で議論を重ね、質的分析を行ってきた。そこで利用者の社会的孤立状況、生活問題の重層性、支援の多様性(規定外支援)を基軸として類型化を行った。その結果、日常生活自立支援事業利用者の生活実態と支援の多様性(規定外支援)の特徴として、①社会的孤立、生活問題の重層性ともにみられず、支援も制度の枠内に収まっているグループ、②社会的孤立、生活問題の重層性が顕著にみられ、多様な支援(規定外支援)が行われているグループ、③社会的孤立、生活問題の重層性ともに深刻であるが制度枠内の支援で収まっているグループに分けられた。今後さらなる分析を進める予定である。 また質問紙調査結果について単純集計、クロス集計、クラスタ分析等を行い、利用者の生活実態と支援状況に関する全体的な傾向、社会的孤立、生活問題の重層性、多様な支援(規定外支援)、地域連携の実施状況との関連性の検討を始めた。この点は平成26年度に引き続き議論を重ねる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第1に、1年目(平成24年度)に調査協力を依頼した岐阜県・市の社会福祉協議会との調整に多くの時間を要したため、全体的に研究の進度が遅れており、それが今年度にも影響している。 第2に、予定していた地域連携に関する調査(先進地域における聞き取り調査)にまだ着手できていない。これは当初の予定では、平成25年度までに行ってきた岐阜・京都での調査と同時並行で実施する予定であったが、実際に研究を進める中で、岐阜・京都における調査の分析結果を踏まえた上で実施した方が、より意味ある先進地域での聞き取り調査を実施できると考えた。従って、岐阜・京都の聞き取り調査結果の分析を待ち、そこでの議論を踏まえた上で平成26年度に実施することとしたためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の前半にこれまでの調査結果の分析(現在、進行中である)と先進地域調査での調査項目の検討と行う。後半は主に地域連携に関する先進地域調査の実施とその整理、検討を行う。また、これまでの調査の分析結果によっては、社協における地域連携状況に関する事例調査を実施することも考えている。年度最後に調査報告書の作成と社会福祉協議会との報告会兼勉強会を実施予定である。なお、当初の予定より遅れているため、聞き取り対象地域の縮小、現場との報告会・勉強会の実施回数を減らすことを考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第1に、先進地域における調査を予定し、そのための旅費を確保していたが、その調査を最終年度に実施することにしたためその分の旅費を使用していない。第2に、京都市社会福祉協議会が当初予定していた調査協力の謝金を辞退され、一部の調査協力分のみの支払いになったため、予定していた謝金が大幅に未使用となった(これはそのまま残額となる予定である)。第3に、研究計画では札幌で開催される社会福祉学会で本研究の中間報告を行う予定であったが研究の進度が遅れているため昨年度は報告を行わなかった。そのため共同研究者全員分の旅費をとっていたが、それが未使用となった。 第1に先進地域における調査を実施し、その旅費で使用する予定である。ただし、平成26年度より研究協力者が(諸事情のため本研究チームから抜け、)一名減るため、当初の予定よりは旅費がかからないものと考えられる。第2に、昨年度行うことができなかった中間報告を研究メンバーが学会等で行う。そのための費用として使用する。
|