2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530759
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 順子 佛教大学, 福祉教育開発センター, 講師 (80329995)
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Keywords | 心のレストラン / ブザンソン市 / フランス共和国 / マイクロクレジット / 生活福祉資金貸付事業 / 福祉費 / 非営利金融組織 |
Research Abstract |
本年度は日本国内のマイクロクレジット機関及び前年度調査に引き続きフランスにおけるマイクロクレジット機関等の調査を行った。 日本国内では連携研究者・角崎洋平氏(立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)と共に、低所得者向けの資金貸付を行う社会福祉協議会及び非営利金融組織である東京コミュニティパワーバンク、女性・市民コミュニテイバンク及び同バンクからの融資を受けて川崎認定保育園を運営している保育室ステップ、難民起業サポートセンター、コミュニティ・ユース・バンクMOMO等の視察と聴き取り調査を行った。 社会福祉協議会では福祉費の貸付を中心に担当者から聴き取りを行った結果、相談者の収入が低いため償還の見通しが立たなかったり、起業に対する相談者の計画性の低さから資金を貸付けることへの躊躇があるが、福祉費として自動車教習所、調理師学校、看護学校等の学費の貸付が行われており、資格を身につける事によって有利な就職ができるように活用されていた。 非営利金融組織では、相談者に対して起業のノウハウを伝えたり、起業後も継続的な支援がなされていた。非営利金融組織の融資基準は組織によっても異なるが、地域に対する公益性が重視されており、この点はマイクロクレジットの在り方を考える上で重要である。 フランスではドゥ県ブザンソン市の心のレストラン等の視察および聴き取り調査を行った。フランス全土に展開されている心のレストランは無償で食料・衣類・本等を配布するアソシアションで、貯蓄金庫の運営するマイクロクレジット機関であるパルクール・コンフィアンスの職員がマイクロクレジットの相談にのっている。融資の使途は自動車購入・家屋補修・教育費等であるが、葬儀代の融資を行った事例もあった。低所得者に対して最低生活を保障するということと生活の向上に向けた融資を行うことは決して矛盾することではなく両立し得るシステムと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は次の3点において研究の達成ができた。 1点目は、昨年度のフランス調査で得た知見を活かしてフランス共和国ドゥ県ブザンソン市の心のレストラン等を訪問し、視察および聴き取り調査を行った点である。利用者は社会活動連帯手当の受給者をはじめとする低所得者である。2011年より貯蓄金庫の運営するマイクロクレジット機関であるパルクール・コンフィアンスの職員が心のレストラン内の相談室において定期的にマイクロクレジットの相談を受付けている。これは低所得者の生活の維持だけでなく、さらなる生活の向上を目標とするマイクロクレジットの本来的な目的を達成するためのスキームである。 2点目は、日本における低所得者に対する貸付である生活福祉資金貸付事業(福祉費)貸付について6ヶ所の社会福祉協議会担当者から聴き取り調査を行った点である。その結果、貸付決定審査会のメンバーには日本政策金融公庫職員が入っている社会福祉協議会が少なくなかったが、借受人の償還見込みの有無によって貸付を判断する意見が多く「福祉貸付」としての生活福祉金貸付事業が機能するための条件について示唆を得た。 3点目は、非営利金融組織である東京コミュニティパワーバンク、女性・市民コミュニテイバンク及び同バンクからの融資を受けて川崎認定保育園を運営している保育室ステップ、難民起業サポートセンター、コミュニティ・ユース・バンクMOMO等の視察と聴き取り調査を行った点である。これらの非営利金融組織の借受人は必ずしも低所得者を対象としているものではないが、起業に際して専門家からのアドバイスを受けたり、起業後も継続的な支援を行なう等の事業継続のための取り組みがされていた。非営利金融組織の融資基準は、個人の起業が地域の公益性にとって有益かどうかの視点が重視されており、マイクロクレジットの利用が地域の発展に寄与する契機となることの必要性を認識した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であり、1年目および2年目の調査研究結果をまとめ、補足調査の必要性のある場合は訪問またはメール等で情報収集にあたる。 さらに、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金学術図書)への応募にむけて研究成果物の執筆を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フランス訪問調査のため前倒し請求を行ったが、当初予定より経費を抑えることができたため未使用額が生じた。 フランス共和国ドゥ県ブザンソン市を訪問し、心のレストラン及びパルクール・コンフィアンス等におけるマイクロクレジットの取り組みを視察・聴き取りを行う。
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Research Products
(4 results)