2012 Fiscal Year Research-status Report
豪雪過疎山村における持続可能な生活支援システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
24530775
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chubu Gakuin College |
Principal Investigator |
大井 智香子 中部学院大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60352829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 和良 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (20275431)
小松 理佐子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40301618)
永井 裕子 明治学院大学, 社会学部, 助手 (70460590)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地域福祉 / コミュニティソーシャルワーク / 過疎 / 生活支援システム / 定住 / 地域再編 |
Research Abstract |
本研究の目的は、過疎・高齢化の進行によって生活基盤が弱体化している地域において住み慣れた地域社会での生活を持続したいという住民、とりわけ高齢者の思いの実現と、地域社会の再編という二つの課題に対応することのできる生活支援システムの開発に取り組むことである。平成24年度は、主にヒアリング調査の実施、実践事例の収集、行政資料の分析、調査対象地域の地域生活構造の把握に取り組んだ。 (1)研究会の開催:第1回2012年7月28日、第2回2012年10月9日、第3回2013年2月2日の計3回を開催した。会場はいずれも日本福祉大学大学院 名古屋キャンパスである。研究の枠組みの構築、調査計画、収集した事例の検討を行なった。 (2)実践事例の収集・検討:本研究のめざす生活支援システム開発のため、研究組織のメンバーが研究を通して関わりを持った地域を中心に、各地で展開されている実践事例の収集を行なった。ヒアリング先は、大分県宇佐郡安心院町松本地区、大分県日田市中津江村、山形県最上郡最上町、岐阜県高山市荘川町、岐阜県大野郡白川村などである。 (3)ヒアリング調査の実施:事例対象地域のひとつである高山市高根町野麦において集落に在住している全ての世帯を対象にヒアリング調査を実施した。調査実施日は2012年11月6日。 (4)このほか行政等の協力を得ながら当該地域の地域生活構造把握のために必要な資料を収集した。またメンバー個別の関わりではあるが、高山市社協との共同事業として市内在住高齢者を対象とした質問紙調査を計画・実施した。これらのデータは、本研究が目的としている生活支援システムの範囲、要件などについて検討する際の有用な材料として考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である平成24年度は、事例対象地域のひとつである高山市高根町野麦の集落調査をメインに取り組んだ。高山市高根町は、いわゆる“呼び寄せられ高齢者”問題、ならびに町内で越冬する高齢者の心身機能の低下防止等を目的とした「冬季ファミリーホーム」を運営している。11月から3月のあいだの共同生活の様子については先行研究もみられるが、その高齢者の夏の生活実態についての調査は行なわれていなかった。そこで研究会で議論を重ね、調査設計を行ない、地元行政ならびに社協の協力を得て集落調査を実施した。実施にあたっては地元行政ならびに社会福祉協議会(以下、社協)の協力を得て、社協地域コーディネーターとともに研究会メンバーが全世帯と担当民生委員を訪問し調査協力へのご依頼をするなどこれまで以上に協力関係を構築することにもつながった。 このほか、メンバーそれぞれが特色ある高齢者支援を実践している過疎地でヒアリング調査実施(大分県宇佐郡安心院町松本地区、大分県日田市中津江村、山形県最上郡最上町)、高山市市街地に在住する高齢者を対象とした外出状況を把握するための質問紙調査を実施した。 しかしながら、開催を予定していた研究会の回数では、これらの調査結果の分析、収集した事例の整理・検討を充分に行なうことができず、次年度に持ち越すこととなっている。また、社会資源の少ない地域において高齢者に対する総合的な生活支援を行うための拠点施設の機能と役割に関する議論も不充分な状態であり、理論枠組みの構築が次年度の大きな課題であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度から持ち越している高根集落調査の分析、またメンバーそれぞれが収集した事例の整理検討を行なうとともに、地域特性を踏まえた拠点施設の機能と役割の検討、地域社会再編の方法の検討、住民のニーズ把握と分析を行なう。 (1)研究会の開催:前年度の実績を踏まえ、収集した事例や資料の分析を進め、地域特性を踏まえた拠点施設の機能と役割と地域社会再編の方法について検討する。 (2)ヒアリング調査の実施:研究計画の段階では住民懇談会を開催し、その場において、フォーカスグループインタビューの実施を計画していたが、平成24年度の高根集落調査の結果、また高山市街地の高齢者調査の結果などから、高齢者世帯の生活維持には別居子の関わりが大きな要素を占めるという仮説が浮かんだ。そこで平成25年度は高根集落に親世代が居住している子ども世帯に対してヒアリング調査を実施したい。 (3)地域特性を踏まえた拠点施設の機能と役割、地域社会再編の方法についての検討:研究会のメンバーが分担し、資料の整理、分析を通して、当該地域の特性、生活構造、住民の生活圏、高齢者の生活実態などに関して整理を行なう。また、行政資料を手がかりとして、当該地域の将来推計を行ない、地域社会再編の方法について検討する。 (4)関連資料の収集・分析:研究会での検討、調査等のために必要な資料収集を行なう。その際、地元行政をはじめ関係機関、関係者から協力を得る。必要に応じて、補足ヒアリング調査を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、各地で展開されている実践事例の収集、野麦集落調査の分析とヒアリング調査のための資料収集、調査地関係機関ならびに関係者との関係構築、調査の実施、研究会の開催等のため旅費の配分が最も大きくなっている。内訳は次のとおりである。 (1)物品費:220,000円(大井:60,000円、小松:60,000円、高野:50,000円、永井:50,000円)調査研究・資料の整理等に必要となる消耗品の購入 (2)旅費:1,342,280円(大井:592,280円、小松:300,000円、高野300,000円、永井:150,000円)研究会の開催、調査の実施のための旅費 ※当初予算に、平成24年度未執行額202,280円を大井の旅費として加算して計上 (3)謝金:200,000円(大井:100,000円、小松:50,000円、高野:30,000円、永井:20,000円)調査協力者への謝金、学生アルバイト代 (4)その他:240,000円(大井:100,000円、小松:50,000円、高野:50,000円、永井:40,000円)
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