2013 Fiscal Year Research-status Report
豪雪過疎山村における持続可能な生活支援システムの開発に関する研究
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24530775
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Research Institution | Chubu Gakuin College |
Principal Investigator |
大井 智香子 中部学院大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60352829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 和良 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (20275431)
小松 理佐子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40301618)
永井 裕子 明治学院大学, 社会学部, 助手 (70460590)
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Keywords | 地域福祉 / 過疎地 / 山間地 / 地域再生 |
Research Abstract |
平成25年度は、初年度にひきつづきヒアリング調査の実施、行政資料の分析、調査対象地域の地域生活構造の把握に取り組んだ。また、自然環境が厳しく社会資源が限られている居住条件不利地域における実践事例の視察、関係者へのヒアリング調査を実施した。 (1)研究会の開催:第1回2013年5月26日、第2回2013年8月6日、第3回2013年10月20日、第4回 2014年2月11日 の計4回開催し、研究の枠組みの構築、調査計画、収集した事例の検討等を行なった。会場は、第1回と第3回が日本福祉大学大学院 名古屋キャンパス、第2回はゲストスピーカーのご都合により講演を虎ノ門、研究組織メンバーによる研究会を明治学院大学で開催、第4回は長崎県五島市でのヒアリングに引き続いて研究会を実施したことから、九州大学 箱崎キャンパスで開催した。 (2)野麦集落調査報告書の発行:初年度に実施した野麦地区集落調査の結果と分析をまとめた報告冊子を作成し、地元をはじめ、岐阜県内外の関係者に配布した。 (3)実践事例の収集・検討:居住条件不利地域における実践事例の視察、関係者へのヒアリング調査を実施した。調査先は、長崎県五島市、岩手県和賀郡西和賀町などである。 (4)ヒアリング調査の実施:事例対象地域のひとつである高山市高根町において野麦地区以外に在住している「のくとい館」入居者対象としてヒアリング調査を実施した。野麦集落在住者は、昨年度のヒアリング対象となっているため今年度は対象外とした。 (5)このほか行政等の協力を得ながら当該地域の地域生活構造把握のために必要な資料を収集した。これらのデータは、本研究が目的としている生活支援システムの範囲、要件などについて検討する際の有用な材料として考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目となる平成25年度は、野麦地区以外に在住している「のくとい館」入居者へのヒアリング調査、居住条件不利地域における実践事例の視察、関係者へのヒアリング調査を実施した。実践事例の視察先は、長崎県五島市、岩手県和賀郡西和賀町である。実施にあたっては各地元行政ならびに社会福祉協議会(以下、社協)の協力を得た。これらの取り組みをとおして、これまで以上に協力関係を構築することにもつながった。 高根集落調査の結果、また高山市街地の高齢者調査の結果などを分析し、高山市の高齢者世帯の生活維持には別居子の関わりが大きな要素を占めるという仮説を立てた。そうであるならば、高齢者の生活維持のためには、これら別居子との関係性を尊重する支援方策が必要であると考えられる。また、五島市琴石地区での取り組み、西和賀町社協の「生活支援ハウス」運営事業、「まごころ宅急便」事業などから、拠点施設という「場」に加えて「支援者」の存在が大きな役割を果たしていることが推察された。過疎化が進む地域社会において住民による主体的な地域社会再編を考えるうえでは、拠点施設に加えて「支援者」の役割を明確にし、行政計画に連動させていく必要があると考えられる。 これらの実績を踏まえ、高山市支部域(旧:町村部)に在住する高齢者を対象とした質問紙調査を平成26年度に実施する準備を進めている。また、高山市内の拠点施設未整備地区において、行政ならびに社協と協働しつつ拠点づくり計画を検討することとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施した調査の分析、またメンバーそれぞれが収集した事例の整理検討を行なうとともに、地域特性を踏まえた拠点施設の機能と役割の検討、地域社会再編の方法の検討、住民のニーズ把握と分析、生活支援システムの開発を行なう。また、拠点施設未整備地区において拠点づくりを計画し、行政計画と整合性を図りつつ地域福祉計画を策定する。 (1)研究会の開催:実績を踏まえ、収集した事例や資料の分析を進め、地域特性を踏まえた拠点施設の機能と役割と地域社会再編の方法について検討する。 (2)質問紙調査の実施:平成24年度に研究代表が市街地(旧:高山市)において実施した「高山市高年者実態調査」を支部域(旧:町村部)において実施する。質問項目に、本研究会で立てた仮説を検証することのできる項目を加える。調査の実施にあたっては、高山市社協ならびに高山市長寿会の協力を得ることになっている。 (3)拠点施設の機能と役割、地域社会再編の方法についての検討:研究会のメンバーが分担し、資料の整理、分析を通して、当該地域の特性、生活構造、住民の生活圏、高齢者の生活実態などに関して整理を行なう。また、行政資料を手がかりとして、当該地域の将来推計を行ない、地域社会再編の方法について検討する。その成果を、拠点施設未整備地区において拠点づくりを計画し、行政計画と整合性を図りつつ地域福祉計画をに反映させる。 (4)関連資料の収集・分析:研究会での検討、調査等のために必要な資料収集を行なう。その際、地元行政をはじめ関係機関、関係者から協力を得る。必要に応じて、補足ヒアリング調査を行なう。
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