2013 Fiscal Year Research-status Report
社会的エージェント資源モデルの構築に向けた総合的研究
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24530785
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
吉田 俊和 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70131216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 寛之 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70449453)
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Keywords | 社会化エージェント / 社会的逸脱行為 / 社会的自己制御 / 社会的情報処理 / 集合的有能感 / 地域住民交流 / 居住地流動性 / 社会化領域 |
Research Abstract |
本プロジェクトは、親(家庭)・友人(仲間集団)・教師(学校)・近隣住民(地域)が、子どもの社会化のエージェントとして、どのように関わり合うかを検討するものである。前年度開始時に、まず予備的に大学生を対象として、回顧法による質問紙を実施してモデル作成を目指した。その結果、4本の学会発表を行った。内容別に述べると、1)地域交流は、社会的有能感や社会的情報処理を媒介して社会的自己制御に影響を及ぼし、さらに社会的自己制御を媒介して社会的逸脱行為に影響していた。2)社会化領域との対応では、親の応答性や友人の受容などのprotectionは情報処理のバイアスに抑制的に機能する。私的交流や教師の熱心な指導は、good learningに該当し、規範意識の向上に寄与する。3)protection領域では、親と教師のいずれかの社会化機能が低くても、片方が高ければ自己抑制が身につくことが示され、相互補完性が示唆された。4)家族ネットワークが少ない人たは、reciprocity(社会化領域の一つ)が低いほど、一般的攻撃信念が高い。また、仲間集団から適切な働きかけを得ていない時、家族ネットワークの豊富さは社会的情報処理のバイアスを緩衝するが、近隣ネットワークの豊富さは、そうしたバイアスを強化している。5)親の養育・しつけの社会的情報処理への影響は、地域住民の集合的有能感や地域交流が有効に機能している場合に限られることが示された。このほか、従来からの一連研究が2本論文化された(査読付き)。社会的自己制御と逸脱行為との関係に関する国際比較では、日本では自己抑制が低く自己主張が高い「主張型」が逸脱行為を行いやすいのに対し、韓国・中国・米国では、自己抑制だけが逸脱行為と関連していた。地域防災に関する集合的有能感の醸成に関する研究では、住民関与性と住民雰囲気の視点から検討された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に、中学生、親、教師、地域のデータを十分と言えないまでも、同時に収集できた。これは、本研究計画の中核をなすデータである。25年度の研究発表は、大学生を対象とした回顧法によるデータであった。元々の狙いは、社会化エージェントの相互補完的機能の明確化が第2ステップとして重要なテーマであった。なかなか収集が難しいデータであるが、十分と言えないまでも、何とか異なるエージェントからのデータを収集でき、それらの相互補完的機能の分析を始めたばかりである。今年度は、このデータに基づき、5本程度の学会発表を予定できる段階である。なお、大学生データに基づく論文も2本程度投稿予定(現在進行形)である。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は、中学1年生から3年生約720名のデータを分析し、社会化エージェントの相互補完的機能について、中学生の認知レベルで検討する。その後は、親(地域住民)、教師のデータも 同時に分析し、認知レベルではなく、実際のエージェント機能を導入して、社会化エージェントの資源モデルについて検討する。ただし、親や地域住民、教師のデータは不十分なデータ数であると考えられるので、今少しモデルを検証するにふさわしいデータ(平成25年度に収集したやり方を洗練させた形で収集する)を、今年度中にも、収集する予定である。平成27年度には、当初の計画通り、社会エージェントに資源モデルの検証を、批判にも耐えうるレベルで提起す予定である。
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Research Products
(7 results)