2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530814
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中西 良文 三重大学, 教育学部, 准教授 (70351228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 誠 三重大学, 高等教育創造開発センター, 講師 (00555500)
長濱 文与 三重大学, 高等教育創造開発センター, 准教授 (10555486)
中山 留美子 三重大学, 高等教育創造開発センター, 講師 (60555506)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 協同学習の動機づけ / 社会的動機づけ / 実践的研究 / 動的プロセスの検討 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画の初年度で目標とされていた、協同学習の動機づけにおける動的プロセスの解明にかかわる基礎的な検討を進めた。 まず、先行研究を基にして、協同学習に関わる動機づけの構造について検討し、協同学習に関わる動機づけの中でも、特に社会的な動機づけを測定する尺度の作成を進めた。さらに、その尺度の一部を用い、時間的にどのように変化するかについて、小規模な実践で探索的に検討した。 その一方で、従来の動機づけ研究で扱われてきたような個人内の動機づけ要因についても、協同学習にかかわる変化をより大きな観点から検討した。具体的には、大学生を対象にした経年的な動機づけ変化に関する大規模調査データを利用し、協同学習を取り入れた特定の授業での学習経験がその変化にどのような影響を及ぼしうるかについて検討を行った。また、実際の授業実践を通して、動機づけの期待-価値理論や内発的動機づけ理論の観点から、どのような変容が見られるのかについても探索的に検討を行った。 さらに、今後の検討のために、協同学習において変化しうる動機づけ以外の要因を測定する道具の開発も進めた。特に、評価規準表であるルーブリックを用いてそれらを検討する道具の開発を進めた。また、協同学習を取り入れた授業プログラムとして、大学初年次教育に関わる授業実践の開発についても検討を進めている。 以上の成果は学会・論文・著書によって発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要のとおり、初年度の研究計画に沿って、研究推進が進んでいると考えている。すなわち、今後の検討に必要な基礎的研究が順調に進んでいる。 まず、協同学習における動機づけを多面的に捉えるために、従来の動機づけ研究ではあまり注目されてこなかった協同学習場面における社会的動機づけを測定する尺度の開発が進められた。その一方で、これまでの研究で多く扱われてきた個人内の動機づけ要因については、協同学習にかかわる実践において、どのような変化が見られるのか、多様な視点から探索的に検討を行っている。 また、協同学習における動機づけの動的プロセスの検討に必要となると考えられる、協同学習により変化する動機づけ以外の要因を測定する道具の開発も進めている。今後、これらを用いて、動機づけ要因とそれらの要因が互いにどのような影響を与えながら変化していくのかを検討することが可能となる。 最後に、協同学習の実践に関するプログラム開発についても行っている。本研究は、実際の協同学習の場面を取り上げた実践的な研究を進めているが、具体的にどのような実践を行うかも、そこでの動機づけプロセスに重要な影響を与えると考えられる。そのため、協同学習の実践に関するプログラム開発を行うことにより、より動機づけを高めることに働きかけられることをめざし、また、それによって動機づけ的な変化がより検討しやすくなると考えている。 なお、次年度以降の検討のための実践校との連携構築も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、研究計画書の2年目の研究計画に従い、研究を推進していく予定である。 まず、今年度の検討において今後の検討に必要な基礎的研究が順調に進んでいる。具体的には、協同学習における社会的動機づけを測定する尺度の開発が進められているため、これを大学生を対象とした大規模実践の中で使用し、検討を進める。また、協同学習による個人内の動機づけ要因の変化についても検討が進められているため、この検討を進めるとともに、社会的動機づけとの関連についても検討を進める。さらに、協同学習によって変化が見られる動機づけ以外の要因を測定する道具の開発も進めているため、協同学習における動機づけ要因とそれらの要因が互いにどのような関連していくかについて検討を進めていく。なお、協同学習の実践に関しては、プログラム開発も行っているため、特定の実践においては、これに従って実践を行い、動機づけ変化を検討する。さらに、実践校との連携を基にして、そこでの実践を行い、動機づけ変化についての検討をより総合的に進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画としては主に、以下の点において重点的に執行する計画である。 一つは、大学における大規模実践における調査実施・分析における執行である。そのため、次年度において改めてこの検討を進めるため、研究費を執行する。もう一つは、協同学習の実践実施にかかる教材費ならびに旅費である。これは、初年度において構築された実践校との連携関係を基にして次年度に進めるものである。
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Research Products
(16 results)