2014 Fiscal Year Annual Research Report
幼児と児童の絵画鑑賞活動における「意味創造型」理解の発達と育成に関する研究
Project/Area Number |
24530824
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森 敏昭 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10110834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若山 育代 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (90553115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物語 / 創作 / 絵画 / 幼児 / 児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,美術教育の分野では,子どもの創造性を育むものとして美術館で行われるあるプログラムに注目を寄せてきた。そのプログラムとは,絵画や彫刻などの美術作品を見て,それらから子どもたちが自由にイメージを広げて独自の物語を創作するというものである。これまでの研究では,そのような物語創作プログラムが子どもの創造性に及ぼす教育的効果を検証してきたが,子どもたちが創作する物語にどのような発達的違いがあるのかは明らかにされてこなかった。物語の創作における発達的違いが明らかになることは,年齢に応じた指導の展開において重要である。そこで,本研究では,物語創作が可能になる幼児期から小学校低学年の子どもに焦点をあて,彼らの物語創作の発達的違いを明らかにすることとした。 研究の方法は,5歳,6歳,7歳,8歳児に一人一人個別にモネの絵画「ヴェトゥイユの画家の庭」を提示し,物語を聞きとるというものであった。静かな教室に協力児と実験者が座り,まず,実験者が絵画についての簡単なクイズ(「何の絵が描かれているかな?」など)を協力児に出題し,その後,「むかしむかし・・」と物語の導入部分を実験者が話し,その続きを協力児に製作してもらった。 協力児が創作した物語の構造を分析した結果,子どもの物語の創作は,絵画から連想して思いついたイメージを無作為につなげて創作するスタイルから,ストーリー内の因果関係を意識して創作するスタイルへと変化していくことがわかった。この結果から,主に幼児期の子どもが絵画から物語を創作する場面では,保育者は子どもが連想を広げて多様なイメージを喚起することを認めることが重要であり,一方,小学校教師は,低学年児童の物語が起承転結の構造を持つことを評価することが重要であると考えられる。
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