2012 Fiscal Year Research-status Report
高次リテラシーとしての批判的読解力のアセスメントと教育実践
Project/Area Number |
24530825
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
沖林 洋平 山口大学, 教育学部, 准教授 (20403595)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬塚 美輪 大正大学, 人間学部, 講師 (50572880)
藤木 大介 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60403599)
小杉 考司 山口大学, 教育学部, 准教授 (60452629)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 批判的思考 / 高次リテラシー / 大学教育 / 批判的読解力 |
Research Abstract |
本研究における高次リテラシーとしての批判的読解力とは,単なる目的に応じた資料内容の理解に留まらない,バイアスにとらわれずにマスメディアやインターネット上の情報や自らの既有知識を参照して,高度な専門的知識や能力に基づいて,多様な情報の統合,識別に関する総合的能力であるといえる。本研究では,次の2つの具体的目的を設定した。第一に,先行研究における批判的思考の認知的構成要素に関する基礎的研究によって得られた知見を踏まえて高次リテラシーとしての批判的読解のアセスメントツールの開発を目指すことである。第二に,大学および大学院教育での批判的読解力育成を目的とした教育プログラムの開発である。 本研究は,山口大学と愛知教育大学,大正大学という3 つの大学で,同じアセスメントツールを用いる。まず,平成24 年度は,山口大と愛教大の比較研究を行う。前期と後期の間,アセスメントツールの修正を行い,バージョンアップを行う。この計画には3 つの利点がある。1 つめは,学部構成や学生数がほぼ同じ環境の2 つの異なる対象で調査を行うことによる,ツールの信頼性の向上である。2つめは,それら2 つとは異なる特徴を持つ大学での効果検証を行うことによる,ツールの一般化可能性の検証である。3 つめは,教育調査における学事歴に束縛されることに対するリスク低減である。アセスメントツールの作成には,プールされている項目を利用しながら,本研究独自の項目や課題を設定する。また,教育プログラムとしては,現行の大学教育プログラムに対して効果的に組み込む方法を検討する。合わせて,アセスメントの信頼性や妥当性を保証するために,Watson& Graser批判的思考力テストや学習方略尺度を利用する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,研究の開始年度であった。研究代表者,および研究分担者それぞれが学会発表や論文執筆等を行い順調に研究を進めており,その成果も発表している。以上の理由により,本研究は目的に照らし合わせておおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,研究の展開期にあたる。山口大学と愛知教育大学で並行的にプログラムを実施することにより,信頼性の高いアセスメントツールおよび教育プログラムの選定を行う。平成26年度は,研究の完成期である。卒業論文作成過程および教育の最終成果物としての卒業論文と批判的読解力の対応を分析する。なお,学部専門教育における批判的読解の到達度としては,卒業論文,修士論文執筆のために,「適切な資料を探索することができるこ」,「証拠に基づき,バイアスにとらわれない理解を導出できること」,「資料中,あるいは,自らが産出した文章の不整合性に気づくことができること」,といった,批判的思考態度や批判的思考能力における構成要素を含むものとする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は1500000円である。そのうち代表者が900000円を使用し,分担者は200000円ずつを使用する。使用内容については,研究代表者はアセスメントツール作成に必要な調査や実験を行うために利用するほか,学会発表や専門家の招へい等に用いる。分担者は,それぞれの役割に応じて研究を順調に進めるために使用する。基本的には,学会発表旅費や図書費として利用する。
|
Research Products
(10 results)