2015 Fiscal Year Research-status Report
日本人児童における対人交渉能力発達支援モデルの提言‐全国調査と国際比較を通して‐
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24530865
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 伸子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70387497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 哲也 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90458141)
坪井 裕子 人間環境大学, 人間環境学部, 教授 (40421268)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本人児童 / 対人交渉能力発達支援 / 全国調査 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの対人交渉能力に関するインタビュー調査:要支援児童を対象とした追加の調査を行った。これまでに収集したデータと合わせてコーディングおよび解析を行ったところ,要支援児童の対人葛藤解決の特徴として,一方向的な方略,否定的および妥協的主張の方略の使用が示された。また,使用理由の聞き取りから,最良の方略を理解しつつも,「実際には難しい」と感じている様子が窺えた。この結果の一部を日本学校心理学会第17回大会において発表した。 子どもの対人交渉能力と学校適応感に関する全国調査:授業中の意見相違場面における葛藤解決方略について,学校生活スキルと学級生活満足感との関連から検討した。その結果,児童間のトラブルに発展しやすい非言語的な一方向的主張方略使用の低減には,スキル育成が手立ての一つになることが示唆されるものの,特にスキルが低い状態にある児童に対しては,ルールが確立された学級環境において,互いの良さを認め合うアプローチが重要であることが示唆された。また,学級の状態を考慮した検討を加えたところ,種々の満足感を持つ児童が混在する学級集団においては,その状態と個人の学級生活満足感が相互に作用し合って児童の対人葛藤解決方略に影響を与えていることが推察され,今後詳細に検討する必要性が示唆された。これらの結果については,日本学校心理学会第17回大会および日本心理臨床学会第34回秋季大会において発表した。 小学校における対人交渉能力発達支援に関するプログラム開発:授業中の意見相違場面における葛藤解決方略と学校生活のQOL(Quality of life)との関連について,行動と情緒の側面も含め,小中学生による学校段階別の特徴を検討し,その結果を論文化した(現在印刷中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的をより精緻に達成するために,2016年度に追加の成果公表を行うことになったが,それ以外はほぼ計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
子どもの対人交渉能力に関するインタビュー調査については,学会発表や論文化を通して,引き続き成果を公表する。2016年度の研究実績を含めた成果を冊子にまとめ,現場に還元する。
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Causes of Carryover |
子どもの対人交渉能力と学校適応感に関する全国調査に関して,報告を行った日本心理臨床学会第34回秋季大会における連名発表者の旅費が不要になった。また,子どもの対人交渉能力に関するインタビュー調査については,2016年度に追加の成果公表を行い,調査協力校を中心に希望校へ配布する冊子は,その内容も反映した上で作成する予定である。よって,冊子の印刷・製本費,通信運搬費は2016年度に使用することになった。これらのことから残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加の成果公表に係る学会参加費・旅費,論文掲載費が必要となる。また,最終に作成する冊子の印刷・製本費,通信運搬費が必要となる。
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Research Products
(5 results)