2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530874
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松崎 佳子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30404049)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 信恵 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (00403931)
山本 裕子 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (70352200)
増田 健太郎 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (70389229)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 里親支援 / 地域援助 |
Research Abstract |
本研究は、被虐待など社会的養護を要する子どもへの家庭的養育・パーマネントケアである里親養育について、現状を把握しつつ養育の質について調査研究を行うものである。社会的養護を要する子どもの半数は被虐待経験を有し、愛着障害や発達障害などさまざまな問題を抱えている。里子の養育は、0からのスタートではなく、マイナスからの関係性・愛着の再形成である。従って、里親には、家庭養育者としての専門性、養育技術等が求められる。今回の里親支援アンケート調査はそのような里親のコンピテンシーや里親を経験しての自身の考え等の変化について調査項目を作成した。現在、福岡市および2年前の里親調査協力者を対象に郵送し、回収中である。さらに調査の協力が得られることとなった里親推進県である大分県にも拡げて実施の準備中である。 また、里親への半構造化面接調査および里親委託時の里親の意見の自由記載については、多くの意見が寄せられているためKJ法により質的な分析を行っている。 里親養育をはじめとする家庭的養護における研修については、国際NGOであるSOS子どもの村インターナショナルの人材養成プログラムなどの資料の収集を行うとともに、次年度の招聘公開研修の準備に取り組んだ。 さらに、日本子どもの虐待防止学会第18回高知りょうま大会において、「社会的養護を要する子どもの支援の現状と課題」として里親、児童相談所所長、弁護士、里親研究者による分科会を企画実施した。そのなかで、2009年採択された国連の子どもの代替養育に関するガイドラインと現在の日本の社会的養護の現状、家庭養護の推進を図る上での課題等を明らかにすることができた。また、同学会において「社会的養護における愛着の喪失予防と再形成をはかる里親委託支援システム」について口頭発表し、参加者たちから今後の研究につながる多くの示唆を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
里親養育に関する行政機関やNPOとの連携を図ることができ、次年度の研究、公開研修等を共同的に行う道筋ができた。また、里親の養育・支援に関するアンケート調査は、福岡県内だけでなく、可能な県を発掘することができ、さらに調査を進めることが可能となった。 日本子どもの虐待防止学会第18回高知りょうま大会において、「社会的養護を要する子どもの支援の現状と課題」として里親、児童相談所所長、弁護士、里親研究者を交えた分科会を企画実施することができた。国連のガイドラインを視野において、さまざまな立場から、日本の社会的養護の現状と家庭養護(里親)の推進についての課題が明確にされ、専門家、関係者間で活発な議論が行わたことは大きな成果であると考える。また、今後の研究を進める上でも多くの示唆を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、現在進めている里親支援アンケート調査数をさらに増やしていくと同時にデータ分析を行う。また、里親への半構造化面接調査の質的分析を進める。 里親家庭へのエスノグラフィー調査を行い、実際の家庭内での出来事の記録やその後の面接において質的な分析を行う。 社会的養護における家庭的養育人材研修を行っている国際的NGOであるSOS子どもの村家庭教育カレッジから講師を招聘し、里親等への公開研修会を開催する。公開研修会については、里親養育に関する関係機関、関係者等との共同開催等連携を深める。 研究成果についての学会発表を行い、さらに情報収集、検討を深める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
もっとも主なものとして、里親等を対象とした公開研修の開催について、講師招聘旅費(オーストリア)500,000円、講師謝金200,000円、通訳謝金100,000円、研修会補助として人件費59,000円、会場費100,000円、チラシ作成費100,000円を計上している。 さらに、調査・研究発表等の旅費200,000円、アンケート調査調査郵送費28,000円、調査データ等分析人件費118,000円、消耗品等で、直接経費計1,600,000円である。
|
Research Products
(5 results)