2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530874
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松崎 佳子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30404049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 信恵 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (00403931)
山本 裕子 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (70352200)
増田 健太郎 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (70389229)
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Keywords | 里親支援 / 里親支援調査 / 国際NGO交流 / 研修・フォーラム |
Research Abstract |
本研究は、被虐待など社会的養護を要する子どもへの家庭的養育・パーマネントケアである里親養育について、現状を把握しつつ養育の質について調査研究を行うものである。社会的養護を要する子どもの半数は被虐待経験を有し、愛着障害や発達障害などさまざまな問題を抱えている。里子の養育は、0からのスタートではなく、マイナスからの関係性・愛着の再形成である。従って、里親には、家庭養育者としての専門性、養育技術等が求められる。今回の里親支援アンケート調査はそのような里親のコンピテンシーや里親を経験しての自身の考え等の変化について調査項目を作成した。平成25年度は、大分県、福岡県、北九州市、福岡市の各児童相談所の協力を得て、里子を委託中の全里親を対象に調査を行った。各児童相談所より、委託中の里親宛に調査票を配付、回答は無記名で直接研究者あて郵送という方式で実施した。回答数は、138名で回収率は、53.7%であった。調査結果については、第15回日本子ども家庭福祉学会での発表申請中である。また、里親家庭の食事場面のエスノグラフィー調査も実施し、現在分析中である。 国際NGOであるSOS子どもの村インターナショナルより講師を招聘し、「九州フォーラム・家庭的養護を支える人材養成」を実施し、九州管内の里親や児童相談所をはじめ里親支援に関わる機関から83名の参加があった。また、里親専門研修として「子どもの忠誠葛藤(Loyalty Conflict)~実親との関係葛藤をどう乗り越えるか~」を実施し、22名の参加を得た。 さらに、日本子どもの虐待防止学会第19回州信州大会において、「家庭養護の推進に向けて、支援システムのあり方を考える」として児童相談所、ファミリーホーム、里親研究者による分科会を企画実施し、里親など家庭養護を担う人材の養成や継続的な支援の構築等について議論を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
里親の養育・支援に関するアンケート調査は、福岡県、福岡市、北九州市、大分県の里子委託中の全ての里親を対象に実施できた。これまでの研究で行われている里親調査報告は、里親会や研修会参加者などを対象にしていることが大半であるため、特定の県、政令指定都市ではあるが、全委託里親対象の調査ができたことは大きな成果であった。 また、国際NGO,SOS子どもの村インターナショナルよりDr.C.Poschを招聘しての九州フォーラムや里親専門研修等をNPOとの連携で実施できたことも、今後の研究の展開に大きな示唆を得るものであった。なお、Dr.C.Poschは、NPO主催による東京ファーラムにおいても同様の講演を行っており、本研究の一つの成果であると考える。 調査やフォーラムの実施は、児童相談所や地域のNPOなどの機関との連携が進んできていることから可能となったことであり、進捗状況が順調であることと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、現在進めている里親支援アンケート調査や里親家庭へのエスノグラフィー調査について質的な分析、精査を行っていく。また、自由記述についての分析を行う。里親養育の質の検討を行うとともに里親への研修を試行する。 平成25年度実施した里親調査との比較のために、一般家庭の保護者に対しての同様の調査の実施についても検討し、実施する。 関係機関等との検討会議を行い、調査結果や研修のあり方などについて検証するなかで、支援システムのあり方について検討する。 得られた成果を取りまとめ、学会等で発表を行う。3年間の研究成果報告書をまとめ、関係機関、関係者に配付する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研修会場を共同研究者所属大学講堂で実施できたため、予算より減額することができた。 里親等を対象とした研修の開催について、講師謝金100,000円、研修会や調査データ処理補助として人件費100,000円を計上している。さらに、調査・研究発表や講師、検討会参加者等の旅費330,000円、調査報告書作成200,000円、調査報告書郵送費70,000円、会場費100,000円、会議費15,000円、消耗品等89,854円で経費計1,004,854円である。
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Research Products
(1 results)