2013 Fiscal Year Research-status Report
イギリス工学教育機関発展史におけるアカデミック技術者問題
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24530947
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣瀬 信 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (00208878)
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Keywords | 技術者養成歴 / アカデミック技術者 / イギリス |
Research Abstract |
明治以降、技術者が高等教育機関で養成されてきた日本ではなかなか理解されないが、技術者が、工学教育機関設立以前に自生的に形成され、実地訓練による技術者養成の伝統があったイギリスの場合、初期において、工学教育機関の発展が制約された。その制約要因の1つに、優秀なアカデミック技術者(工学教員)の確保と再生産の困難の課題があるのではないかという仮説の下に、イギリス工学教育機関発展史を、アカデミック技術者問題に焦点を当てて検討することを目的としている。その際、スコットランドの大学のサンドイッチ制が果たした役割に注目している。 初年度に、スコットランドのグラスゴー大学とエディンバラ大学を訪問し、その史料室で、各大学のアカデミック技術者の情報を収集したが、2年目は、それらのアカデミック技術者の内、技術者専門職団体の会員に選出された者を中心に、会員選出時の審査資料をロンドンの技術者専門職団体の史料室で収集し、彼らの教育・訓練歴等の情報を収集した。これらを分析し、論文「イギリスにおけるアカデミック技術者の歴史的形成についての基礎的研究(1)――グラスゴー大学とエディンバラ大学の場合――」にまとめ、2014年5月20日締め切りの富山大学人間発達科学部紀要に投稿する予定である。 2年目は、上記のロンドンの技術者専門職団体(土木と機械)への訪問に加え、ロンドン大学キングズ・カレッジとロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジの史料室を訪問し、各大学のアカデミック技術者の情報を収集した。 また、英国図書館も訪れ、関連文献・資料を閲覧し、アカデミック技術者に関わる情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究は、時間を追って「研究の目的」の達成度が段階的に進む研究では必ずしもなく、研究期間全体を使った資料収集、情報収集を踏まえて、ようやく「研究の目的」に到達できる研究である。その意味で、「研究の目的」に大きく近づいたとは言えないが、それに必要な資料収集、情報収集は順調に進展しているといえる。また、すでに集めた資料や情報を分析し、論文にまとめる作業も、2年目には行うことができ、3年目の段階で投稿・刊行予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、他の大学のアカデミック技術者についての情報収集を行うとともに、大学の年報等では入手できないアカデミック技術者の教育・訓練歴の情報について、技術者専門職団体の(準)会員選考資料によって収集していくつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
イギリスで使用した複写費が予想より少なくてすんだことによる。 今年度は17,159円の残金が出たが、次年度の複写費等に充当したい。 次年度の研究費の大半は、イギリスでの調査のための旅費として使用する予定である。
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