2014 Fiscal Year Research-status Report
イギリス工学教育機関発展史におけるアカデミック技術者問題
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24530947
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣瀬 信 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (00208878)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 技術者養成歴 / アカデミック技術者 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
明治以降、技術者が高等教育機関で養成されてきた日本ではなかなか理解されないが、技術者が、工学教育機関設立以前に自生的に形成され、実地訓練による技術者養成の伝統があったイギリスの場合、初期において、工学教育機関の発展が制約された。その制約要因の一つに、優秀なアカデミック技術者(工学教員)の確保と再生産の困難の課題があるのではないかという仮説の下に、イギリス工学教育機関発展史を、アカデミック技術者問題に焦点を当てて検討することを目的としている。その際、スコットランドの大学のサンドイッチ制が果たした役割に注目している。初年度のスコットランドのグラスゴー大学とエディンバラ大学訪問で収集した資料と2年目にロンドンの技術者専門職団体で収集した資料を突き合わせて分析し、論文「イギリスにおけるアカデミック技術者の歴史的形成についての基礎的研究(1)――グラスゴー大学とエディンバラ大学の場合――」にまとめ、富山大学人間発達科学部紀要第9巻第1号、2014年10月に発表した。3年目は、ケンブリッジ大学とロンドンの技術者専門職団体で資料を収集した。また2年目に収集したロンドン大学キングズ・カレッジとロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジの資料の分析を進め、現在、論文「イギリスにおけるアカデミック技術者の歴史的形成についての基礎的研究(2)――ロンドン・キングズ・カレッジとロンドン・ユニヴァーシティ・カレッジの場合――」としてまとめる作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究は、時間を追って「研究の目的」の達成度が段階的に進む研究では必ずしもなく、研究期間全体を使った資料収集、情報収集を踏まえて、ようやく「研究の目的」に到達できる研究である。その意味で、「研究の目的」に大きく近づいたとまでは言えないが、それに必要な資料収集、情報収集は順調に進展しているといえる。また、すでに集めた資料や情報を分析し、論文にまとめる作業も、順次進めており、その中では、スコットランドの大学のサンドイッチ制が、教授が、優秀な学生をアカデミック技術者への道に進ませる上で重要な役割を果たしていた事例も確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した資料の分析、論文作成作業を引き続き進めるとともに、今年度は、ロンドンの技術者専門職団体での資料収集を中心に、引き続き資料収集を進めるつもりである。
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