2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530961
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤岡 健太郎 九州大学, 大学文書館, 准教授 (00423575)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折田 悦郎 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (10177305)
永島 広紀 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (50315181)
陳 昊 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 学術協力研究員 (50404108)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 帝国大学 / アジア / 植民地 / フィールドワーク |
Research Abstract |
①九州帝国大学教官のアジア出張状況・成果に関する調査:平成24年度はまず、九州帝国大学教官のアジア出張状況について、時期・場所・目的(調査研究の内容)等の調査を行い、一覧表を作成した。その上で、該当教官について、調査研究の成果にあたる論文・調査報告等の調査・収集を行った。現状ではまだ不十分な部分も残されているが、本研究課題の根本的基礎となる重要なデータを蓄積する作業であり、これまで不明であった、九州帝国大学教官のアジア出張状況の全般的状況をつかむことが可能となった。 ②九州帝国大学外地演習林の研究:当初の計画では平成25年度に行う予定であったが、旧南鮮演習林での調査をきっかけとして、農学部附属演習林より関係資料の借用ができたため、この課題に取り組んだ。帝国大学の外地演習林は、当時においてはいわば最も身近なアジア調査研究のフィールドであるが、これまで外地演習林に関する研究は非常に少なかった。今回この研究を行ったことで、これまで明らかでなかった外地演習林の諸状況を明らかにすることができた。その成果は『九州大学農学部附属演習林百年史』に掲載される予定である。 ③九州帝国大学農学部の満洲国調査研究に関する検討:①の調査を通じて、農学部の満洲国調査研究については、現段階で調査研究活動の状況が特に具体的に明らかにできることがわかった。当該期の満洲国調査研究については、これまで人文・社会科学分野に関してはかなりの研究の蓄積があるが、自然科学分野についてはほとんどなかった。今回この検討を行ったことにより、自然科学分野の満洲国調査研究の状況について、その一端を明らかにすることができたと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基礎作業である九州帝国大学教官のアジア出張状況の調査が、当初想定していた以上に該当件数が多い上に詳細が不明なものが多々あるために時間を要した。同様に、アジア調査研究に関する論文・研究報告等の探索も、該当件数が非常に多いために完了していない。これらの作業の遅れのために、アジア調査研究関係講座等の設置構想に関する研究にまで進むことができなかった。こうした点は当初の計画どおりには進んでいない。 一方で、旧南鮮演習林の調査をきっかけとして、九州帝国大学の外地演習林に関する研究を進めることができた。また、これまでの成果を基に、今後の研究の進め方を図る意味もあって農学部の満洲国調査研究について検討を行った。こうした個別の課題の検討については、25年度以降の計画にしていたが、先行して検討したことは研究全体にはよい影響を与えていると考えられる。 以上、遅れている面と進んでいる面があるが、これらを総合的に勘案すると、全体としてはおおむね順調に進展している状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施した基礎的なデータと資料の調査・収集のうち、不明な部分を埋めていく作業を継続する。 基礎的なデータの蓄積状況と資料の調査・収集状況を考慮しつつ、具体的な検討が可能な項目を設定して、研究を進めていく。計画では地域別の検討を進めることとしていたが、初年度の作業(収集したデータ・資料、「九州帝国大学農学部の満洲国調査研究に関する検討」の内容)により、学部プラス地域別に検討する方が成果を得やすいと考えられるため、研究計画を再編する。すなわち、地域別の主担当(満蒙:藤岡、中国:陳、東南アジア:折田、台湾・樺太・朝鮮:永島)は原則としてこれまでどおりとし、そこに学部別の副担当(理・農:藤岡、医:折田、工:陳、法文:永島)をつけ、両者が相談して細かい検討項目を設定し、研究を進めていくこととする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の剰余が生じた要因は、当初予定していたほど物品費がかからなかったこと、資料の収集が進まなかったことなどである。初年度は当初予定していた以上に資料調査等の旅費が必要となり、次年度以降も同様となることが予想されるため、この剰余については次年度以降の資料収集費用(資料調査旅費のほか、資料購入費、資料複写費等)に充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)