2012 Fiscal Year Research-status Report
大学及び学協会における産学連携に伴う組織としての利益相反に関する調査研究
Project/Area Number |
24530989
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新谷 由紀子 筑波大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40333281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊本 虔 筑波大学, その他部局等, 名誉教授 (50284229)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 利益相反 / 組織としての利益相反 / 産学連携 / 研究倫理 / 大学 / 学協会 |
Research Abstract |
大学及び学協会における利益相反マネジメント(組織としての利益相反を含む)の現状の把握のため、以下の1、2を対象にアンケート調査を行った。 1.大学対象:平成22年度に企業と共同研究を実施した大学の研究担当副学長。国立大学81人、公立大学(公立大学法人を含む)47人、私立大学177人、合計305人(全大学778校の39%)。 2.学協会対象:日本学術会議協力学術団体(約1,870団体)から自然科学系の団体のうち、地方を拠点とする学会、国際学会の日本支部、産学連携活動が困難な分野の団体を除く567団体を抽出。さらに、この567団体からExcel 2010で乱数を発生させて300団体を無作為抽出し、これらの学協会の会長300人。 調査票はメール便で送付したが、インターネット上でもダウンロードを可能とし、記入後、同封の返信用封筒、E-mail、FAXのいずれかでの返送を依頼した。調査実施日は平成24年9月3日、締切りは同年10月11日とした。調査票回収率は、大学が54%(内訳:国立89%、公立62%、私立37%)、学協会が36%であった。 上記アンケート及びインタビュー実施の結果、個人としての利益相反マネジメントについては、学協会よりも大学が先行して整備を行ってきたが、組織としての利益相反マネジメントについては、大学も学協会も共に役員等の意思決定権者の個人としての利益相反マネジメントを実施するにとどまっている場合が大半であることが判明した。特に大学においては、組織としての利益相反について十分に認識して利益相反マネジメントを実施しているところは極めて少ない状況であるといえる。一方、学協会の方では、利益相反マネジメント自体を行っているところが少ないが、医学分野を中心に整備を行っている学協会に関しては、著作や講演については発表時に利益相反の状況を公表するという対応となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の実施計画では、大学280校、学協会200団体のアンケート調査を実施する予定であったが、数としてはそれを上回る対象に調査することができた。また、アンケート調査やインタビューにより、学術の世界における組織としての利益相反マネジメントの実態を明らかにするのみならず、これらの理念の普及を図ることを目的としていたが、特に大学よりも整備が出遅れている学協会から熱心な問い合わせが来るなど、当初目的に沿った成果を上げることができた。また、他大学から、利益相反に関する相談が増加してきた。 平成24年度に実施した調査研究の結果は平成25年4月には100ページを超える報告書にまとめ、関係各所に配付するとともに、インターネット上で公開する。また、平成25年6月には学会発表も行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は主に欧米先進諸国の大学や学協会における利益相反マネジメントに関するアンケート調査を実施する。研究費を抑制するために、郵送ではなく、電子メールで実施する予定であるが、近年はウィルスメールの横行によりメールの調査に対する警戒心が増して実施しにくくなっているので、添付ファイルにしない等の対策を考えている。 また、平成24年度に引き続き、国内のインタビュー調査を実施することにより、利益相反の理念の普及を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
なし
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