2014 Fiscal Year Research-status Report
教員養成の高度化のための国立教員養成系大学・学部改革に関する基礎研究
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24530998
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
梅澤 収 静岡大学, 教育学部, 教授 (90223601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成松 美枝 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (40440812)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教員養成システム論 / 国立教員養成大学・学部 / 教員養成の高度化 / アメリカの教員養成 / 国立大学改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国立教員養成系大学・学部のカリキュラム・組織・ガバナンスの面から基礎的な調査分析を行うとともに、米国・ウィスコンシン州等の教員養成システムに学びながら、日本の教員養成システムの特有性を活かした改革デザインを考察するものである。3年計画の最終年度にあたる本年度は、①改革動向調査、②歴史構造分析、③米国調査にわたり、それぞれ次の取り組みを行った。 ①「改革動向調査」では、教員養成部会報告書「これからの学校教育を担う教員の在り方について(2014.11.6)」までの教員政策動向を的確に把握した。とりわけ、「小中一貫教育の制度化」政策が急進展しており、「21世紀型学力」対応の次期学習指導要領改訂(2016年度末予定)や小中一貫教育に対応させた教員免許・採用・研修の総合的見直しの方向性となっている。一方、国立教員養成系大学・学部の改革動向の動向は、学士課程では新課程廃止と学部再編、修士レベルでは教職大学院設置と既存教育学研究科の在り方(共存・調整等)に焦点は絞られてきているが、現代教育課題に対応し、「理論と実践往還」型の高度化システム=「養成・研修統合型」教師教育システムへとどう移行させていくかが大きな検討すべき課題である。なお、「ミッションの再定義(教員養成分野)」の国立大学の内容分析を行い、招待講演(6月福井大学実践ラウンドテーブル)で公表した。 ②「歴史構造分析」では、戦前師範学校時代から現在までの教員養成の歴史をまとめ、学部将来構想委員会や文部科学省の教職員勉強会(3月)の参考資料として配付した。ただし、教員研修や教員採用の歴史政策の分析は課題として残された。 ③「米国調査」では、本科研費研究チームで、米国連邦・州簡レベルの教員政策動向と2014年度から導入されたウィスコンシン州の教員評価システムについて引き続き調査分析を行い、昨年度に引き続いて学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、国立教員養成系大学・学部のカリキュラム・組織・ガバナンスの面から基礎的な調査分析を行うとともに、米国・ウィスコンシン州等の教員養成システムに学びながら、日本の教員養成システムの特有性を活かした改革デザインを考察するものである。 3年計画の最終年度にあたる本年度は、①改革動向調査、②歴史構造分析、③米国調査にわたり、上記「研究実績の概要」の通り、当初計画によりそれぞれの取り組みを行った。 しかしながら、国立大学改革加速期間(H25-H27)にあり、①「改革動向調査」は、48の国立教員養成大学・大学の改革実態をどのように的確に把握し、調査分析するかという課題が残された。また、③「米国調査}は、米国・ウィスコンシン州の教員評価制度は2014年度9月から新たに導入されたばかりであり、その運用実態や課題を把握していく課題が残された。 そこで、これら2つの調査検討を踏まえて、日本の教員システムの再構築を考える必要があると判断したために、「補助事業期間延長申請」を行い承認されたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在まで達成度」の理由に示したように、次の2つの継続調査を行なった上で、日本の教員システムの再構築を考える必要があると判断したために、本科研費研究について「補助事業期間延長申請」を行っている。 ①「改革動向調査」は、国立大学改革加速期間(H25-H27)にあり、48の国立教員養成大学・大学の改革実態を、アンケートや訪問調査の手法によって引き続き調査分析する。 ③「米国調査}は、2014年9月に導入された米国・ウィスコンシン州の教員評価制度について、システムの枠組みの精査とともに、その運用実態や課題を把握していく。 これらの2つの調査検討を踏まえて、日本の教員システムの再構築を考える予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度において、「米国調査」については、学会の研究発表に擁する経費と重要文献の翻訳経費に使用し、構築できた米国大学の研究ネットワークを活用して米国渡航費は分担者や協力者が各自で対応したこと、「改革動向調査」は進行中の大学改革対応の経費で別途行ったことなどにより、未使用の経費が生じた。そこで、本科研費研究は、未使用額を使って次の2つの継続調査を計画した。 1つは、「改革動向調査」であり、いま国立大学改革加速期間(H25-H27)にあり、48の国立教員養成大学・大学の改革実態を的確に把握し、調査分析する。もう一つは、「米国調査}であり、米国・ウィスコンシン州の教員評価制度は2014年度9月から新たに導入されたので、今年(2015)度においてはシステムの大枠の精査とともに、その運用実態や課題を把握する予定である。 この2つの補充調査をもとに、総合的な検討を行うこととしたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「改革動向調査」では、48の国立教員養成大学・大学の改革に関するアンケート調査を行なう予定である。またいくつかの注目される大学を訪問したい。これに、アンケート調査分析(送料・データ整理、及び旅費等)に25万円を充てる。 「米国調査}では、ウイシコンシン大学ミルウォキー校の研究者のネットワークを活用して情報収集を行い、ウィスコンシン州の教員評価制度の運用実態や課題を把握する計画である。こちらに3万円を充てる。残りの0.7万円余は消耗品等の経費とする。
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