2012 Fiscal Year Research-status Report
探究的・協同的な学びに基づく学校文化の創造と教師の実践的力量形成に関する史的考察
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24531002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
中野 真志 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90314062)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アメリカでの資料の発掘・収集 |
Research Abstract |
他大学の図書館からの相互貸出、文献複写依頼による資料収集、インターネット等を活用し、国内外のデューイ、デューイ実験学校、ヤングについての研究情報を入手しながら、日本とアメリカにおけるデューイの教師論に関する先行研究、デューイ実験学校の教師及びヤングの著書・論文等の研究資料を収集・整理した。本研究の現代的な意義という視点から「教職の専門性」「教師の実践的力量形成」「カリキュラムマネジメント」等に関する邦文、英文の文献を購入し参考資料とした。 この年度の研究成果として、アメリカ教育学会第24回大会で自由研究発表を行った。発表テーマは「ジョン・デューイの教師教育構想」である。その発表ではデューイの教師教育構想の中心が、一人の個人としての教師の知的自由と知的活動への尊敬にあることを明らかにした。当時、他のほとんどの学校では教師たちへの厳密な管理システムが支配的であったが、デューイは、教師たちが自分のワークを個人的に協同的に反省し、それに応じて計画を修正することを当然のこととして認めていた。なぜなら、民主的で協同的な教師の組織が教師たちの知的活動を促進したからであった。 しかし、知的自由の中心には知的責任が必要であり、教職の専門性への準備は知的責任の習慣を育てることを含まなければならない。すなわち、教師が教育について思慮深い機敏な研究者となるためには、教材に関する知識が豊であり、教育の心理学的、倫理的哲学に基づいて、自らの教育活動を観察、洞察、反省するということが精神的な習慣として形成されなければならないのであった。学校における探究的・協同的な学校文化の創造には、知的自由に基づく協同と知的責任が重要であることを明らかにした。 この他に、アメリカの協力学習法との比較を通して、生活科と総合的な学習における協同的な学びの特質について明らかにし、論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に行う予定であったシカゴ大学及びシカゴ州立大学の図書館での新たな資料、『初等学校教師』の諸論文、シカゴ大学におけるヤングの「講師報告」、デューイ実験学校の教師による「活動報告書」等の発掘・収集ができなかった。しかし、それらの資料の発掘・収集を平成25年度に繰り下げて行うなど、今後の研究の予定を若干、修正することにより、本研究の目的は十分に達成できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き、デューイ、デューイ実験学校の教師、ヤングの著書・論文、関連する先行研究等を収集・整理し、翻訳と考察を行う。また、シカゴ大学、シカゴ州立大学の図書館にて研究に関連する新たな資料を発掘・収集し、整理する。具体的には『初等学校教師』の諸論文、シカゴ大学におけるヤングの「講師報告」、デューイ実験学校の教師による「活動報告書」等である。 デューイ実験学校に関する研究資料を発掘し収集する意図は、実際のカリキュラム開発と授業実践の文脈や状況を踏まえた上で、ヤングの教育思想、教育理論を考察し、「探究的・協同的な学びに基づく学校文化の創造」と「教師の実践的力量形成」のための方策と方途を具体的に明らかにすることである。そして、発掘し収集した研究諸資料のさらなる分析と考察を行い、その成果を日本デューイ学会等で発表し、論文としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・設備備品:研究図書(和書・洋書)、消耗品:プリンタートナー、コンピュータソフト、ハードディスク、資料整理用ファイル等 ・国内旅費(学会発表、研究協議、研究資料の収集)、外国旅費(シカゴ大学、シカゴ州立大学での資料の発掘・収集) ・その他(複写費) (B-A:繰越金)「平成24年度に行う予定であったシカゴ大学等での資料収集等を平成25年に繰り下げたため残額が生じた。」
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