2013 Fiscal Year Research-status Report
探究的・協同的な学びに基づく学校文化の創造と教師の実践的力量形成に関する史的考察
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24531002
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
中野 真志 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90314062)
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Keywords | 探究 / 協同 / デューイ / E.F.ヤング / デューイ実験学校 / 教師の実践的力量 |
Research Abstract |
本年度の研究成果として、①日本デューイ学会の第57回研究大会シンポジウムにおいて、「デューイ実験学校における統合的なカリキュラムの開発」という題目で提案を行い、そのカリキュラム開発において、探究的・協同的な学びの文化が創造されていたことを明らかにした。なぜなら、この学校が目指していた、自律的に責任ある態度と行動に導くような経験を子どもたちに与えようとするならば、まず教師たちが民主的で参加的な方法でお互いに、また、監督者たちと協同すべきであったからだ。そして、それはシカゴ大学の教師や保護者との連携により後援され保障されていた。言い換えれば、この学校では探究的・協同的な学びの文化が子どもやその学校の教師たちだけでなく、保護者とシカゴ大学の教師たちを巻き込みながら、拡大されていったといえる。 次に、②「ジョン・デューイの教師教育構想-『教育の理論と実践の関係』を中心に-」、③「レスター・ウォードとジョン・デューイ-『目的にかなう進歩』と『反省的な思考』-」という論文を作成した。②では、デューイ実験学校の具体的な教育実践も視野に入れながら、「知的自由」と「知的責任」という概念に焦点を合わせ、デューイの提起した「実験室的な着想」、「知的方法の統制」の意味を検討し、デューイの教師教育構想について考察した。③では、ウォードの教育理論の生物学的側面について考察し、彼の研究がデューイの教育哲学と教育学にどのように影響を与えたのか、またデューイがそれをどのように発展させたかについて考察し、それが実験学校のカリキュラムや授業でどのように具体化されたのかを明らかにした。 この他、現在の日本における探究的・協同的な学びについて、生活科と総合的な学習の理論と実践を中心に研究を行い、その成果を共編著の著書にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に行う予定であったコーネル大学及びシカゴ大学図書館での研究資料、「メイヒュー・ペイパーズ」、ヤングの「講師報告」の発掘・収集ができなかった。しかし、それらの資料の収集・整理を平成26年度に繰り下げて行うなど、今後の研究の予定を若干、修正することにより、本研究の目的は十分に達成できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き、J.デューイ、デューイ実験学校の教師、E.F.ヤングの著書・論文、本研究に関連する先行研究等を収集・整理する。また、コーネル大学、シカゴ大学の図書館で研究に関連する新たな資料を発掘・収集し、それらの翻訳と考察を進め、研究のまとめを行う。具体的には、『初等学校教師』の諸論文、シカゴ大学におけるヤングの「講師報告」、デューイ実験学校の教師による「活動報告書」、メイヒューペイパーズである。それらの研究資料を活用し、デューイ実験学校における実際的なカリキュラム開発と授業実践の文脈や状況を踏まえた上で、ヤングの教育思想、教育理論を考察し、「探究的・協同的な学びに基づく学校文化の創造」と「教師の実践的力量形成」のための方策と方途を具体的に明らかにする。その研究成果を日本デューイ学会等で発表し、論文としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に行う予定であったコーネル大学及びシカゴ大学での資料収集等、図書の購入を平成26年度に繰り下げたために残額が生じた。 平成25年度末に本研究に関連する図書を発注済みであり、また、コーネル大学及びシカゴ大学での資料収集を平成26年9月に行う予定である。 研究図書(和書・洋書)、国内旅費(学会発表、研究協議、研究資料の収集)、プリンタートナー、コンピュータソフト等。
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