2014 Fiscal Year Research-status Report
人間関係に困難を抱える幼児の小学校への移行期における異年齢保育による援助方法開発
Project/Area Number |
24531014
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 理絵 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (60249282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
別府 悦子 中部学院大学, 子ども学部, 教授 (60285195)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人間関係 / 発達障害 / 異年齢保育 / 幼小連携 / 縦断調査 / 発達支援 / 幼児教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.異年齢クラス編成で保育を行っている保育園2園(1~5歳児クラスと3~5歳児クラス)において、人間関係に困難を抱える幼児が異年齢集団保育において、どのように変化・発達していくかについて、観察と保育者への聞き取り調査を、昨年度に引き続きほぼ毎月1回ずつ実施している。集団・グループのサイズ、保育目標、活動内容、参加形態・方法、活動時間帯、周りの子どもたちとの関係、保育者の働きかけ、年齢による違い等を記録し、その記録を整理している。 2.上記の継続的に観察・記録する園の他に、県内の保育所2園における異年齢保育について単発的に観察・聞き取りを行い、記録を作成した。 3.地域の障害等をもつ子ども(幼児と小学生)とその家族のサークルと連携し、毎月1回程度大学キャンパス内において、大学生のサポートにより一緒に遊ぶ活動を行い、観察を継続している。活動内容、子どもとおとなとの関係、子どもどうしの関係、おとなの援助方法などを記録し、保護者からの聞き取りも行った。幼児期から小学校入学後の子どもたちの変化や有効な援助方法を分析するために、記録を整理している。 4.スウェーデンの就学前学校の保育者が来日した際に異年齢保育における人間関係に困難を抱える子どもの支援について聴き取り調査を行った。また、保育において有効だと思われる、ドキュメンテーション及びプロジェクト活動について、スウェーデンの保育者やアメリカの保育研究者から話を聞き、情報を収集した。 以上のような、発達障害や人間関係上の困難を抱える幼児に対する異年齢保育の中での支援方法の検討については、日本ではほとんど研究されておらず、貴重な資料を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、幼稚園・保育所から小学校への移行期において、発達障害(疑いを含む)やその周辺にいる、人間関係に困難を抱える幼児に対して、差異や多様性を受け入れやすい特徴をもっている異年齢保育を通してどのような援助方法が有効か、保育実践の継続的観察及び保育者等からの聞き取り調査の分析により明らかにすることである。 当初の計画で平成26年度は「幼稚園・保育所等における人間関係に困難を抱える幼児(発達障害や多動・衝動的傾向を示す幼児等)に関する異年齢保育場面での観察・聞き取り調査を実施し、実践を分析する。24年度以降に観察・調査した幼児を中心に追跡調査する。月1回程度保育場面を観察し、保育者等に保育の目標・内容・方法や子どもの変化について聞き取り分析する。継続的に追跡調査できそうにない園には、単発の観察・聞き取り調査を行い参考にする」と計画していた。研究成果の一部を日本保育学会大会で発表するとともに、紀要にまとめることができ、ほぼその計画どおりに進んでいる。 また、「発達障害・『難しい子ども』への対応の実践事例、幼稚園・保育所等における保育実践に関する国内・国外(スウェーデン、フィンランド等)の異年齢保育及び特別支援保育、保育園・幼稚園と小学校との連携に関する文献・資料を収集する。」という計画についても、来日したスウェーデンの保育者に、異年齢保育や障害児の保育について聞き取りを行い、また、有効だと思われるプロジェクトアプローチについても調査している
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Strategy for Future Research Activity |
1.引き続き、幼稚園・保育所等における人間関係に困難を抱える幼児(発達障害や多動・衝動的傾向を示す幼児等)に関する異年齢保育場面での観察・聞き取り調査を実施し、実践を分析する。25年度に観察・調査した幼児を中心に追跡調査するとともに、3年間の観察・聞き取り調査結果の分析とまとめを行う。 2.発達障害・「難しい子ども」への対応の実践事例、幼稚園・保育所等における保育実践に関する国内・国外の異年齢保育及び特別支援保育、保育園・幼稚園と小学校との連携に関する文献・資料を収集する。 3.日本保育学会大会に参加し、研究成果の一部を発表するとともに、関係資料を収集する。 4.スウェーデンの保育者が来日するので、聞き取り調査(異年齢保育の中での、発達障害の子どもの援助、小学校入学1年前の就学前教育での支援方法について)を行う。
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Causes of Carryover |
スウェーデンまたはフィンランドでの調査を検討したが、スウェーデンの保育者が来日することになったので、その際に聞き取り調査を行うこととし、実地調査を行わなかったことなどから、使用残額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に観察・聞き取り調査の際の協力者への謝金・旅費及び教材、研究打ち合わせ及び資料収集の旅費等に使用する。
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