2012 Fiscal Year Research-status Report
新自由主義教育改革における教育課程・教員管理行政の日独仏比較研究
Project/Area Number |
24531035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
高津 芳則 大阪経済大学, 人間科学部, 教授 (90206772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 健二 東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 准教授 (40222286)
佐藤 修司 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (70225944)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 新自由主義 / フランス / ドイツ / 日本 |
Research Abstract |
平成24年5月26日、日本教育法学会大会(早稲田大学)終了後、第一回の合同研究会をおこなった(高津・前原・佐藤)。3年間の研究計画再確認と、H25年度に予定している外国調査(ドイツ・フランス)の大まかな日程調整をおこなった。H24年度は、まず高津と前原が、研究成果として、H24年度日本教育学会大会(名古屋大学)における自由研究発表をすると確認した。H24年8月26日、名古屋大学で開催された日本教育学会大会の「テーマ型研究報告B-2「学校のリアリティと改革の可能性」」において、高津は「自治体レベルの学校改革動向とその問題性ー大阪を中心にー」として大阪の教育改革事例を、前原は「国際的動向を踏まえた学校のリアリティと改革の方向性」としてドイツおよび東京の改革事例を報告した。ともに、新自由主義的改革(競争原理の導入)が、新保守主義(道徳的価値観の強調、教員の管理強化)とセットですすめられていることを明らかにし、一見、特定政治家の個性による教育改革に見えるものの、それは小泉構造改革からの流れの中で位置づけることのできる動向であることを明らかにした。それゆえ、改革分析にあたって、特定政治家のときどきの言説にこだわることなく、制度改正された現実を客観的に分析することの重要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、日本教育学会での報告を優先したため(高津・前原)、日本の地方における新自由主義的教育改革(秋田・東京・大阪)の研究を先行させた。先行研究の文献の検討としては、佐貫浩・世取山洋介編『新自由主義教育改革ーその理論・実態と対抗軸ー』(大月書店2008年)をベースにした。この先行研究では、通説にのっとり、新自由主義と新保守主義を区別し、新自由主義的教育改革分析にあたって、新保守主義をいったん議論として区別する。しかし、東京・大阪のように、国全体に先行して新自由主義的教育改革をすすめる地方自治体にあっては、教員統制と国旗国歌の強制が必ずセットでおこなわれている。そのため、新自由主義的改革動向の指標として、新保守主義的改革を同時に比較検討することが不可欠という知見を得た。この結論を指標にして、学力テスト日本1の秋田県の教育改革動向、さらに、フランス・ドイツの改革動向をレビューすることになっている
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度研究方針は、5月25日開催予定の日本教育法学会大会(早稲田大学)にあわせて、合同研究会をもち、検討する予定である。本年は秋頃、ドイツおよびフランスへのヒヤリング調査を予定している。資料収集と先行研究分析をすすめながら、外国調査の準備をすすめる。 フランスにおいては、新自由主義的諸改革への批判から、主に、教員組合の支持を背景に昨年スタートした社会党政権が、現在、支持率低迷となってきている。新自由主義的改革の是正に、失敗あるいはブレーキがかけられたことが原因と見られている。フランス学校教育において、どのような現実になっているのか、注目される。 ドイツは、EU緊縮政策の牽引的役割を果たしてきたものの、国内においても批判が高まってきている。新自由主義的改革の流れで、高等教育授業料有償化が導入されたものの、H25年2月には、ドイツ全州で大学授業料が廃止されることになった。全16州のうち大学授業料を徴収していた2州が相次いで廃止方針を決定したためである。このような動向について検討する必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究予算上、そのほとんどが合同研究会旅費、外国調査旅費で占めることになる。不足部分は、各自の所属大学における研究費で補いつつ、資料収集をすすめる。研究予算が限られているので、対象を限定し、効率的な研究にする予定である。支出は、旅費、物品費のみで、人件費は不要である。
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Research Products
(3 results)