2013 Fiscal Year Research-status Report
新自由主義教育改革における教育課程・教員管理行政の日独仏比較研究
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24531035
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
高津 芳則 大阪経済大学, 人間科学部, 教授 (90206772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 健二 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40222286)
佐藤 修司 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (70225944)
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Keywords | 新自由主義 / 日本 / フランス / ドイツ |
Research Abstract |
平成25年5月25日(土)日本教育法学会大会後に研究メンバー3人が、予定していたドイツ・フランスへの資料収集・ヒヤリング調査のための日程を打ち合わせし、各自の研究スケジュールの確認を行った。/11月17日、成田を出発しフランクフルトに向かった。まず18日、ドイツ国際教育研究所において、ホルスト・ヴァイスハウプト教授(Prof. Dr. Horst Weishaupt)に、研究テーマにもとづいて、ヒヤリングをおこなった。 翌19日は、学校見学として、ハインリッヒ・ベル校(協力型総合制学校、ヘッセン州マイン・タウヌス郡。Heinrich-Boll- Schule (Kooperative Gesamtschule), Main-Taunus Kreis, Hessen)を訪問し、カール・ヒルデブラント校長先生(Karl Hildebrandt)に具体的な学校運営について、研究テーマとの関係でヒヤリングをおこなった。20日フランス・パリに向い、政府刊行物センター(La documentation francaise)および全国教育職業情報センター(Office nationa d'information sur les enseignements et les professions)において調査・資料収集を行い、24日帰国した。/高津芳則(研究代表者)は、2014年3月1日から10日まで、フランス・リヨンにあるフランス教育研究所(Institut francais de l'Education)等で追加の資料収集・調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、予定通りドイツ・フランスにおける、研究者ヒヤリング、学校見学、学校ヒヤリング(校長)そして資料収集ができたので、目的に従って研究は進められている。ただし、仮説との関係で検討し直すべき課題も生じた。ドイツでは、地方分権に加え、学校の独立性(学校予算・カリキュラム決定権)が極めて高い。ドイツの教育学研究者、学校教員は、その点を自国の制度的特色と考え、ドイツと比較してフランス教育制度をきわめて中央集権的とする。たしかにフランス教育は中央集権的制度にみえるが、教育専門家による管理システムは、政治・行政による教育管理を排除するのであり、また教員評価も法律で定めがあるものの、実態は緩やかである。また教科書も学校単位で教師が選択できる。新自由主義という観点で3つの国を比較する場合、日本の教育における中央集権制は、沖縄県竹富町教科書問題に見られるように、かなり特殊である。以上の観点を組み込んで、研究を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度、第1回研究会(7月6日)を開催し、最終年度の研究計画を打ち合わせする予定である。比較対照のドイツ・フランスの教育については、追加資料の収集を含め、引き続き資料分析を行う。日本については、安倍内閣のもとでの教育改革が進展しているため、次の動向を検討対象に加える必要が生じている。1)平成26年度実施の学力テスト(4月22日実施)は、はじめて自治体による学校別結果公表が可能になったこと(平成25年11月29日文部科学省公表による実施要項)。2)安倍内閣が、教育委員会制度を見直す地方教育行政法改正案を閣議決定し国会に提出したこと(平成26年4月4日)。3)下村文部科学大臣が、小中学校の道徳の「特別な教科」化に向けて中教審に諮問したこと(平成26年2月17日)。ここには、戦後教育の改革理念にもかかわる問題が含まれるため、これら改革が新自由主義的教育改革の枠組みにどう位置づけられるのかという視点を含めて、相互の研究分担の中で研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定の、書籍・文具の発注が遅れたため。 予定通り、書籍・文具の発注をおこなう予定である。
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Research Products
(7 results)