2012 Fiscal Year Research-status Report
社会認識に基盤を置いたシティズンシップの実体化およびその再構築モデルの開発研究
Project/Area Number |
24531102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
戸田 善治 千葉大学, 教育学部, 教授 (50207586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 伸 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (70508465)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シティズンシップ / 社会認識教育 / 社会科教育 |
Research Abstract |
お茶の水女子大学附属小学校等に代表されるシティズンシップ教育実践,開発教育協会等に代表される開発教育実践,および「社会参画」を中核概念とするシティズンシップ教育に関する理論的・実践的研究を,「権威・権力」への「対抗性」,多様な社会に対する「柔軟性」,学習者自身による自覚的な「再構築性」という,社会認識形成において一般的に主張されている視点からの分析を行った。 その結果,シティズンシップ教育と社会認識の相互補完には,評価の高いシティズンシップ教育を社会認識の視点から分析し,社会認識の視点からも高く評価できるものへと改善する「シティズンシップの実体化」という方向性と,評価の高い社会認識教育実践をシティズンシップ教育の視点からも高く評価できるものへと改善する「社会認識のシティズンシップ化」という方向性があることが指摘できた。 また,イングランドのシティズンシップ教育等の研究者および実践者との研究方法論に関する意見交換を行い,アイデンティティ形成の重層構造を前提とするいわゆる「古い民族問題」,多文化化・他民族化といういわゆる「新しい民族問題」にも対応したシティズンシップ教育および社会認識教育をめざしているイングランドにおいても,「権威・権力」への「対抗性」,多様な社会に対する「柔軟性」,学習者自身による自覚的な「再構築性」という視点の重要性,シティズンシップ教育と社会認識の相互補完の重要性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、シティズンシップ教育を、社会認識との相互補完の視点からの検討し、及び社会認識形成それ自身をシティズンシップ教育の視点からのとらえ直しを通して、シティズンシップを社会認識に基盤をおいて実体化させるとともにその育成および再構築モデルを作成することである。 その再構築モデルの作成において,「シティズンシップの実体化」という方向性と,「社会認識のシティズンシップ化」というふたつの方向性の解明は,平成25年度に予定されているシティズンシップ教育の修正プランづくりおよび新規開発の基盤となるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、イングランドおよび日本国内のシティズンシップ教育論の検討および実践の分析を引き続き行うとともに、平成24年度に明らかにした,「シティズンシップの実体化」という方向性と,「社会認識のシティズンシップ化」というふたつの方向性のもとで,我が国のシティズンシップ教育実践および社会認識教育実践の修正プランの作成および新規開発を行う。 1.イングランドにおけるシティズンシップ教育論および実践を、「権威・権力」への 「対抗性」,多様な社会に対する「柔軟性」,学習者自身による自覚的な「再構築 性」という視点および,前述の二つの方向性のもとでの分析を行う。 2.日本において発表されたシティズンシップ教育実践の収集を行うとともに、高い評 価を得ている関東地区及び関西地区の実践校の研究成果分析および実態調査を行 う。 3.収集した実践を「シティズンシップの実体化」という方向性と,「社会認識のシテ ィズンシップ化」というふたつの方向性のもとで修正プランの作成を行う。 4.千葉大学附属小学校および千葉大学附属中学校教諭の協力を得て新規実践の開発を 行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は,以下のように使用する計画である。 1.イングランドにおけるシティズンシップ教育論及び実践に関する現地調査及び資料 収集を行う。 2.日本におけるシティズンシップ教育実践の資料収集および実態調査を行う。 3.千葉大学附属小学校および千葉大学附属中学校教諭の協力を得て新規実践の開発を 行う。
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Research Products
(9 results)