2014 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における高等女学校と中学校との教科書比較研究
Project/Area Number |
24531112
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
近藤 裕幸 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40583422)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教科書 / 高等女学校 / 旧制中学校 / 地理科 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
(最終年度に実施した研究の成果)中学校と高等女学校の地理教授における性差を究明し、歴史教科書と地理教科書における性差の特徴を究明した。本年度は最終年度であたるため、これまでの分析結果を日本地理教育学会において発表し、同学会に論文を投稿した(審査中)。 (研究期間全体を通じての成果)本研究の目的は,高等女学校と旧制中学校の地理科教科書における教科書記述内容の量的差異、質的差異を検討することで、地理科教科書にみられる性差の特徴を明らかにすることであった。研究対象は、高等女学校および旧制中学校の教科書で、著者が同一なものをとりあげ、かつ発行年の差を3年以内のものに限定した。方法は,教科書の頁数や記述内容の量的質的差異の比較によった。特に質的差異については,中学校用教科書にはみられず、女学校用教科書のみにみられる表現(文章・挿図等)に着目した。 その結果以下のことがわかった。まず、中学校教科書と比べると,女学校用教科書は量的に少なく,教科書の知識が羅列的記述になる傾向が強い。次に、日本地理教科書および地理学通論の表現内容には女学校用教科書特有な表現はそれほどみられないかものの,外国地理の教科書においては多くみられた。具体的には「女性はかくあるべき」という表現である。また、歴史科教科書では,日本の歴史における女性の貢献,当時の服装に関する表現がみられたが、地理科教科書では住民や風俗についての記述が多く見られた。 本研究の意義は,まず、女子教育における教科書記述内容を分析し,男子との違いについて質的量的側面から明確にでき,これまで地理教育史研究においての欠落部分を補うことでができたことである。次に、地理教育にみられる性差,ひいては教育上における性差について,歴史との比較を通して明らかにでき,地理教育の教育上の位置について新たな知見をもたらすことができたことである。
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Research Products
(1 results)