2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24531135
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
福田 隆眞 山口大学, 教育学部, 教授 (00142761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 宰 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40261375)
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Keywords | アジア / 美術教育 / 台湾 / 韓国 / シンガポール / インドネシア / マレーシア |
Research Abstract |
本研究の目的は、アジア地域における美術教育の本質と文脈に関わる理念と実態調査の研究である。アジア地域の多様な社会や文化の中で、美術教育にどのような価値や役割が与えられ、学校教育での位置づけがなされているかを総体的に把握し、騒乱的に示すことを目的としている。 平成25年度は、実態調査としてベトナム、インドネシア、韓国、シンガポールを対象とした。ベトナムにおいては教育訓練省、ハノイ教育大学、ハノイ美術館、ベトナム美術大学、公立小・中学校を調査対象とした。ベトナムでは現在、教育課程の改訂を計画しており、技術・知識の系統的学習のカリキュラムから創造性・判断力等を育成する問題解決学習のカリキュラムへの移行を計画していることが明らかなになった。教育大学での美術教員養成も技術、知識の習得が主となっており、今後、美術教育方法の導入が進められている。小・中学校の美術教育の実態では、美術は絵画と美術史が主となっており、絵画ではお手本主義による教育が行われている。また、美術史の知識習得学習が主となっている。工芸、デザインなどの内容はまだ確立されていないことが明らかになった。 インドネシアでは中等教育の美術教材と教員研修の内容を調査した。美術教材は伝統的な内容と西洋からの影響の現代的内容を統合的に採り入れ、音楽、舞踊などにも関連していることが明らかになった。教員研究ではジョクジャカルタの特別施設を調査し、全国からの教員研修を実施し、工芸、デザインを重視していることが明らかになった。 韓国については伝統文化の教材化が増大していることと、韓国画の充実が美術大学等で進められていることが明らかになった。シンガポールでは教員研修機関を調査し、現職教員の質的向上を進めていることが明らかになった。 また、当初の研究対象ではないが、アジアの主要地域として中国の美術教育の調査を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はベトナム、韓国、インドネシア、シンガポールを対象にして調査を実施した。また、一部マレーシアについても教育課程の改訂に伴う変化があり、調査を調査報告を追加した。ベトナムは本研究での初めての調査対象であり、美術教育の本質と文脈を概略的に把握することに努めた。美術教育課程、教員養成、教育実践の調査を実施しそれらの概略が明らかになった。現在、ベトナムの調査をまとめている段階である。韓国については中等教育の教材分析を行い、現在そのまとめを行っている。 インドネシアについては教育課程の改訂段階にあるので、資料収集を行った。今後継続して調査を行う。シンガポールは現段階で研究成果をすでにまとめているが、教員研修、芸術高校の開設など新たな調査項目が発生し、現在それらの調査を行っている。 マレーシアについてもシンガポールと同じく研究成果をまとめたが、新しい教育課程の策定、教育大学の改革などの新たな調査項目が発生しているので、それらの調査を実施している。マレーシアについては調査報告を行っている。成果の報告については図書として『教育におけるグローバル化と伝統文化』の中で「マレーシアの美術教育にみられる伝統文化と視覚言語」として発表している。 さらに中国の美術教育についても文献調査、聞き取り調査によって研究を実施している。。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、平成26年度、27年度の2年間を見据えて計画をしている。当初の調査対象として挙げているタイとカンボジアについては美術教育の実施が未分化な状況にあるので、できるだけ進行した状況を調査するために平成27年度に実施する予定である。従って、平成26年度は、ベトナム、インドネシア、台湾、韓国の再調査を実施する予定である。 ベトナムは2015年に向けて教育課程の改訂を実施している。そこで昨年度に引き続いて、教育課程策定のための資料の収集と教育課程実施のための文脈調査を行う。具体的には美術の教材構造、教員養成、伝統文化とグローバル化への対応についての調査である。インドネシアについては教育課程の再調査と文脈研究としてのグローバル化と伝統文化の位置づけについての調査を行う。台湾については、美術教育の実践となっている学習領域「芸術と人文」の教育が10年を超えているので、統合化された美術教育の成果の調査を、文脈研究として実施する。韓国については、中等教育の教材構造とグローバル化と伝統文化の関係について、文脈研究としてその実際を調査する。 また、中国についても文献や聞き取りによって美術教育の本質と文脈の研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はカンボジア、タイの美術教育の状況がまだ、未分化なので最終年度に調査することに予定変更をした。したがってその分の調査旅費が残となり、平成26年度以降に繰り越すこととなった。 平成26年度は、タイ、カンボジアの調査のための予備調査を文献、聞き取りによって行う。さらに中国の調査のために、文献、聞き取りなどの国内での調査を行う。
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Research Products
(8 results)