2012 Fiscal Year Research-status Report
スペインの美術教育に学ぶ、言語教育を取り入れた図画工作科の学習内容と指導法の検討
Project/Area Number |
24531146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
藤井 康子 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (10608376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 穂高 東京学芸大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50238531)
金子 亨 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90233882)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 図画工作科教育 / バイリンガル教育 / 美術教科書 / スペイン |
Research Abstract |
初年度はマドリッド自治州の調査を2012年11月4日~11日までの計8日間の日程で、教科書を中心としたデータベース構築に必要な教育機関の調査、教育資料の収集を行った。海外調査は研究代表者(藤井康子)と研究分担者(藤井穂高)、現地協力者(Maria Acaso Bosh、Esther Bang他)が連携し合い実施した。 (1)小学校の調査:マドリッドのバイリンガル小学校を訪問し、食物を題材とする第2学年の授業観察と教科書の使用状況や内容、図工の週当たり授業時間数、授業における言語の取り扱い等についての聞き取り調査を行った。又、年間授業時間数等のカリキュラムに関する資料を入手した。 (2)教育機関における聞き取り調査:マドリッド・コンプルテンセ大学芸術学部を訪問し、スペインの美術教育の最新の動向、スペイン及びマドリッドの学校教育制度に関する現状、バイリンガル教育における美術教育の在り方について、現在の日本の美術教育との違いや問題点等について聞き取り調査を行った。 (3)教科書、教師用指導書、美術教育関連資料の収集:スペインの教科書会社ANAYA社を訪問し、教科書の収集を行った。ANAYA社では教科書発行責任者と編集者から英語版美術教科書の編集及び出版に関する聞き取り調査を行った。この他、マドリッド・コンプテンセ大学芸術学部図書館にて資料収集を行った。 (4)資料整理と研究会の開催:研究の連絡調整や方向性について、随時電話や電子メールによってディスカッションを行った。現地にて、美術教育研究者であるマドリッド・コンプルテンセ大学准教授Maria Acaso Boshの参加を得て研究会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英語版美術教科書と教師用指導書、副教材等の資料収集と分析、考察等の理論的研究については、当初の計画通り順調に進展している。データベース構築のため、収集した資料の電子化作業を終了させた。初年度は、小学校低・中学年を対象とした、子どもが楽しみながら学べる学習教材の検討と開発に必要となる基礎資料の作成を行った。 現地調査と大学教員との相互研究等の実践的研究については、マドリッド自治州の首都マドリッドについては現地の小学校及びマドリッド・コンプルテンセ大学、教科書会社ANAYA社の訪問調査により達成できたが、ガリシア自治州の都市サンティアゴ・デ・コンポステラについては次年度に変更した。この原因は、先方との日程調整に難航したためである。したがって、次年度はカタルーニャ自治州の都市バルセロナとサンティアゴ・デ・コンポステラの現地調査を実施する。大学教員との相互研究については、バルセロナ・アウトノマ大学の他、本年度の調査でマドリッドとサンティアゴ・デ・コンプルテンセの大学教員とのネットワークを構築し、関係者間の連携協力のサポートを得られる体制を整えることが出来た。その他については、当初の計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初年度の課題を踏まえて次の内容を更に継続・発展させる。 (1)現地調査:現地のバイリンガル小学校を訪問し、美術の授業を観察し、実践内容と指導法、教科書とその他の学習教材の種類と運用方法、多言語教育との連携、年間授業時間数等のカリキュラム等について聞き取り調査を行う。各自治州の教育委員会を訪問し、多言語教育についての取り組みや現状について聞き取り調査を行う。 (2)資料収集及び必要資料の翻訳、資料の分析と考察:英語版美術教科書や教師用指導書、関連資料の収集と、研究上必要となる教育法等の関連資料の翻訳作業を継続して行い、英語版美術教科書の学習内容及び指導法の分析と考察を深める。英語版美術教科書については各自治州の教育法規を参考に、スペイン教育科学省の認可を受け教科書会社で編集・出版されているものを対象として収集する。 (3)現地大学教員とのネットワークの構築:マドリッド・コンプルテンセ大学、バルセロナ・アウトノマ大学、サンティアゴ・デ・コンポステラ大学の美術教育研究者との研究交流を継続・深化させるとともに、現地で開催される美術教育学会に参加して現地大学教員とのネットワークの構築を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度のガリシア自治州の都市サンティアゴ・デ・コンポステラの現地調査を次年度に変更したため、ガリシア自治州の調査に予定していた旅費、人件費・謝金、物品費、その他(複写費・郵送費)の残額の繰越しを行い、次年度の現地調査で使用する。 次年度は、マドリッドを拠点としてバルセロナ、サンティアゴ・デ・コンポステラにおける訪問調査を実施する。そのために必要な旅費、人件費・謝金を使用するとともに、研究上必要な教科書及び関連図書等を購入するための物品費、複写費・郵送代としてその他の金額を使用する。
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Research Products
(4 results)