2012 Fiscal Year Research-status Report
通常の学級への相互依存型集団随伴性の適用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24531228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野呂 文行 筑波大学, 人間系, 准教授 (30272149)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 応用行動分析学 / 発達障害 / 通常の学級 / 集団随伴性 |
Research Abstract |
本年度は、研究対象校の選定、対象学級の選定、研究協力依頼等の研究を実施するために必要な事前の準備を中心に実施した。具体的な作業としては、大学近隣の小学校に対して、本研究テーマである集団随伴性適用の対象となる学級を選定するために、「学級集団全体での活動に困難が生じている」「発達障害の児童がその中に含まれている」「研究協力を得られる」などの条件を満たす学級についての情報収集を行った。近隣の小学校に打診した結果、3つの小学校の5学級が、研究の対象学級としての候補となっている。 研究対象の候補となった学級に対しては、予備的観察を実施した。具体的には、現在、問題とされている学級内での児童の行動について、集団場面での行動観察を可能とするための「観察者の訓練」「記録システムの構築」を実施した。このうち、記録システムについては、担任教師であっても、その行動が観察可能な記録シートの検討等が行われた。また予備的観察の実施過程で、標的行動の焦点化と支援介入方法を探るために、予備的に機能的アセスメント(行動随伴性に基づくアセスメント)を実施した。その結果、候補となった学級の多くにおいて、学級内のルールの不徹底と、ルールに従事した行動・従事しなかった行動に対する担任教師のフィードバックの不明確さが、問題の背景にある可能性が示唆された。 今後は、平成25年度からの本格的な研究実施に向けて、研究同意を得ること、研究の実施、効果評価に関する具体的な手続きの検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、1)研究協力学校や協力学級の選定作業、2)適用場面の選定作業、3)グループ規模による児童間の相互作用に関する検討、の3点を実施する計画であった。平成24年度は、この中で、研究協力学校と協力学級の選定作業を進め、さらに予備的観察に基づいて、2)適用場面の選定作業の実施を行った。また3)については、本格的な研究実施には至っていないものの、研究協力学級での予備的観察に基づいて、児童間の相互作用に関する分析方法についての検討を行った。以上の点から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、研究実施のための準備作業を進めてきた。平成25年度においては、年度当初より、集団随伴性に関して、その適用規模に基づいて児童間の相互作用の分析についての研究を実施する。具体的には、学級全体に対する適用、グループ単位(班単位)に対して、複数の学校場面(朝の会・帰りの会など)を対象に、相互依存型集団随伴性を適用し、その効果を検討するとともに、児童間の相互作用に関する分析を行う。特に学級内に在籍する発達障害児童と他児との相互作用について、「標的行動の促しや援助などのプラスの相互作用」「非難などのマイナスの相互作用」に分けて、行動観察による測定を行う。その結果に基づいて、集団随伴性手続きがプラスの相互作用を生み出すための手続き検討を行う。 またそれと平行して、国内外の学会に参加し、情報収集に努めるとともに、研究成果についても積極的に情報発信していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、学校場面の行動観察のために予定していた人件費が、見積額よりも少なかったため、179,595円が平成25年度に繰り越されることになった。この予算は、平成24年度に計画をしていた人件費として、平成25年度に使用する予定である。
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