2013 Fiscal Year Research-status Report
部分群構造とそれに付随する組合せ構造を用いた単純群の構造の研究
Project/Area Number |
24540024
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千吉良 直紀 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40292073)
|
Keywords | 有限単純群 / 格子 |
Research Abstract |
本研究では、有限単純群の構成を考えるうえで重要である特徴的な部分群に注目し、その部分群から得られる組み合わせ構造等を用いて、単純群の構成、特徴付けについての研究を行うのが目的である。特に、単純群の部分群で、ある既約表現において座標置換として作用するような部分群に着目し、その部分群から群の構成、群の構造の研究を行うのが目的である。本年度もラドヴァリス群を中心に研究を行った。 1.ラドヴァリス群の28次元複素空間への作用で、ラドヴァリス群の部分群である9元体上の3次元ユニタリ群から、標準基底に関する置換表現を考えることができる。このユニタリ群の部分群である位数21のフロベニウス群とその位数3の部分群が固定するベクトルを用いて、標準基底と異なるある直交基底を構成できることが分かった。これにより、ラドヴァリス群のユニタリ部分群を含む極大部分群以外の部分群を構成することができる。これはコンウェイによって構成された四元数群を用いたラドヴァリス群の考察と同じものであるが、具体的にどのように記述し、構成することができるかが明らかになった。 2.ラドヴァリス群には25元体上の3次元ユニタリ群も部分群として作用している。この群はホフマン・シングルトングラフというグラフの自己同形として実現することができる。このグラフを28次元の複素空間の長さ2のベクトルから構成し、そのベクトルとグラフの関係を考察した。このグラフを考察することによって、ラドヴァリス群が自己同形として作用する長さ4060の2元体上の自己双対符号の生成元を構成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラドヴァリス群がこの研究目的の具体的な例として最適な群である。いくつかの部分群を捕まえることができるようになったので、群全体の様子を調べることができるようになってきている。また、ラドヴァリス群の作用する符号の構成にもこの研究が役にたっていることからこの群に関して多くの情報を簡単なユニタリ群から捕まえることに成功していると思わえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ラドヴァリス群の構造を完全に捕まえることを目的とする。そのために関連する様々な幾何構造及び組み合わせ構造を考察し、それらの関連付けと特徴づけを行う。また、いくつかのその他の単純群についても同様に良い性質をもった部分群があることが分かっているので、それらを考察することによって一般論の構築も視野に入れて研究を行う。さらに、多くの単純群、一般の有限群の部分群の様子を考察することによって、群の特徴的な性質をとらえることを考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品の購入額が予定を下回った。繰り越して次年度に使用することで本研究の目的を達成させることができると判断した。 繰り越した金額は次年度の金額と合わせて物品の購入に充て、研究の促進を図る。
|
Research Products
(1 results)