2013 Fiscal Year Research-status Report
オービフォールド符号数の特異点並びに特異ファイバーへの応用
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24540048
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
足利 正 東北学院大学, 工学部, 教授 (90125203)
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Keywords | singularity / toric resolution / continued fraction / Fourier-Dedekind sum / Todd class / orbifold |
Research Abstract |
前年度投稿した論文「Toric modifications of cyclic orbifolds and an extended Zagier reciprocity for Dedekind sums」は最近 Tohoku Math. J. に accept されたが, その中心概念の一つであった巡回商特異点の Fujiki-Oka 双有理正則写像を反復合成して得られる解消過程は, 高次元連分数と深い関わりがある。すなわち高次 Euclid 互除法を経由しつつ, 多重真分数を係数に持つ非可換多項式としてHirzebruch-Jung 連分数の拡張にあたる高次元連分数が定義できるが, これは上記 Fujiki-Oka 解消と本質的に対応する。 本年度はこの連分数の幾何的並びに数論的性質を中心に研究を行い, その内容を論文「Multi-dimensional continued fractions for cyclic quotient singularities and Dedekind sums」として執筆し, 現在投稿論文として完成真近の最終段階にある。 この研究により, 解消過程の各段階での有理 Chow 環の動きを, Pommersheim の方法のある部分を拡張して考察することが可能になった。特に3次元の場合には, この解消の例外集合の交点形式の情報全体を我々の連分数を用いて明示的に書き下せる。またこの解消に伴うオービフォールド Todd 類の足し上げにより, 次数0の3次元 Fourier-Dedekind 和の連分数による明示公式を与えることができる。これは古典 Dedekind 和に対する Myerson-Holzapfel 公式の拡張版と見ることができる。 特異点論と数論の境界領域における方法論の一端が, 切り開かれたものと自負している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記連分数の役割を担う剰余多項式並びに切り下げ多項式と命名した非可換多項式の幾何的意味付けが明確な形で得られた点、並びに3次元に限定した形ではあるがFourier-Dedekind和に対する応用が開かれた点において, 昨年度目標として掲げた第一点目は前進を見たと言える。 昨年第二点目の目標として掲げた曲線族のファイバー芽の持つ不変量への,オービフォールド特性類の応用についても, まだ論文の執筆は開始していないが, 発展性があると自負している有力なアイデアを持っておりその計算を遂行しつつある点も含め, 達成度に対する評価を判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の三点を中心に今後の研究を推進したいと考えている。 第一点は, まず先に述べた完成真近の論文を実際に完成させ, 投稿することである。 第二点は, 研究目的に掲げてある曲線族のファイバー芽の局所符号数及び Horikawa 指数をモジュライ写像を経由して求める方法に関することである。周期的モノドロミーを持つ種数3の場合については、以前石坂瑞穂氏が曲線族の具体的定義方程式を用いて計算を行っていた部分を, リーマン面の自己同型に関するEichler 跡公式を用いてより内在的に求めることが出来るアイデアを既に得ている。この方法をきちんと確立し, 論文を執筆したい。ここを糸口として, 以前吉川謙一氏と共同で定式化した方法の発展形を探り, 今野一宏氏が定義した奇数種数 Clifford 一般曲線族の Horikawa 指数に対するモジュライ写像を経由する計算方法の確立に繋げたい。 第三点は, 我々の連分数の代数的整数論への応用を探ることである。この目標は申請の初期には持っていなかったのであるが, 本年度の上記研究を通して芽生えてきた。それには通常格子を用いて行うトーリック解消を, 無理数の生成する格子に変えて実行することに可能性を感じ始めている。2次無理数と Hirzebruch-Jung 解消から古典循環連分数が生じ, それは周知のように2次体の数論に有効である。それを我々の高次元連分数と Fujiki-Oka 解消に止揚する糸口を探ってみたい。 なお今まで同様, この科研費は国内外の研究者を集めて研究集会を開くための資金や, 多くの研究者の旅費補助等に利用したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の消耗品の額を若干程度増やすため 消耗品の使用額に繰り 入れる
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Research Products
(2 results)