2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540073
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
久村 裕憲 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283336)
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Keywords | 部分多様体 / ラプラス-ベルトラミ作用素 |
Research Abstract |
捩じれ積多様体内にあるシリンダー領域を考え、非コンパクト多様体がその領域内に等長的にはめ込まれていると仮定する。このとき、そのはめ込まれたリーマン部分多様体のラプラシアンの固有値に関し明示的評価を得た。このような状況は先の論文「Exit submanifolds from cylindrical domain in warped product manifolds (to appear in The Royal Society of Edinburgh Proceedings A )」でも考察対象とした。これまで、多くの場合、はめ込まれ先の多様体の領域は有界とするケースが多かったが、本研究では、この様なシリンダー型の拡張タイプのものを扱った。私の結果は上のようなシリンダー内にある非コンパクトリーマン部分多様体のスペクトルの下限は下から幾何学的量(曲率等)により下から押えられるというものである。この結果は、Cheng-Li-Yauの結果の一つの拡張になっている。彼らの結果は有界領域内にある部分多様体に関するもので、その方法は熱核の移植法による熱核比較からの帰結であった。私の場合は、熱核の代わりに第一固有関数の移植で直接示した。そして、今回の結果は、上記論文(Exit …)の系1.1の主張「確率論的非完備」の拡張になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、「既存の視点をドラスティクに変える」ことを目標にしているが、そのためには、新たな知見・発見を必要とする。以下具体的に述べる:今までの微分幾何的な考察は、私の知る限りでは、距離関数とその合成関数を比較対象としてきた。しかし、この様な一次元的なものを超えて、ターゲット上の関数環(本当は、より強く作用素環)とその部分多様体への引き戻しを考えることは部分多様体論の(少なくとも抽象的には)異なる方向への進展になるだろう。その様な言わば巨視的な視点から研究を行いたいというのが本研究の目標があるが、今のところ、いくつか結果は出来てはいるものの、目標までには到達していないのではないか。
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Strategy for Future Research Activity |
極小曲面、それを一般化した平均曲率一定曲面は部分多様体の中でも最も美しいものと言える。しかし、Calabi-Yau予想の反例であるNadirashviliによる有界な(はめ込まれた)極小曲面の例やColding-Minicozzi(2008)の結果もあり状況は複雑である。今後、関数理論的立場からこのような現象を捉えたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
体調を崩したときが一時あった。 研究推進のため、内外の研究者による研究集会・シンポジウムをマネージメントする。研究情報取得、並びに、研究者との議論のため多くの研究者と交流する。
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