2012 Fiscal Year Research-status Report
平均化の手法による実及び複素フィンスラー幾何学の大域的研究
Project/Area Number |
24540086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
愛甲 正 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (00192831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小櫃 邦夫 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (00325763)
宮嶋 公夫 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (40107850)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Finsler metrics / Finsler connections / Averaged metrics / L.C. Berwald / Rizza Kahler manifolds / L.C.Rizza-Kahler |
Research Abstract |
平成24年度は,フィンスラー幾何学で最近になって注目されている平均化の手法を応用し,既によく知られている特殊なフィンスラー空間の研究を行った.Berwald空間の研究でよく知られたZ. Szabo氏の結果を,この平均化の手法で見直すことにより,Szabo氏の研究をより簡明な形で表現できた.この手法は,研究代表者が過去に研究した「局所共形的Berwald空間」へ応用することにより,フィンスラー幾何学における共形理論へと発展させることができた.特に共形幾何学で重要なWeyl接続をフィンスラー幾何学へも拡張したFinsler-Weyl接続を導入し,共形的に平坦なフィンスラー空間の特徴付けを行うことができた. また複素フィンスラー幾何学への応用については,Rizza-Kahler計量とよばれるフィンスラー計量を許容する複素多様体を研究した.その結果,Hartogsの定理を応用することにより,このフィンスラー計量はBerwald計量に帰着することがわかり,またこの計量をファイバー積分することにより得られるRiemann計量は底空間のKahler計量になることを示した.したがってRizza-Kahler計量という計量のクラスは条件が強すぎることがわかった.そこで,少し条件を緩めて,Hopf多様体が局所共形的Kahler計量という非Kahler計量を許容したように,局所共形的にRizza-Kahler計量になってるフィンスラー計量(L.C.Rizza-Kahler計量)を提案し,その解析を行った.その結果,平均化の手法の応用として,このフィンスラー計量をファイバー積分して得られる底空間の計量はL.C.Kahler計量になることを示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題にある「平均化の手法」を用いて得られた成果を実フィンスラー幾何学へ応用し,特に局所共形的Berwald空間の特徴付けや,またその空間に付随しているRiemann計量のファイバー積分による表示を得ることができた.また,この付随するRiemann計量のLevi-Civita接続とフィンスラー接続との関係をファイバー積分,すなわち平均化を用いて表現することができた.実フィンスラー幾何学への平均化の手法の応用に着いては,それまでの結果をまとめ,学術雑誌に発表した. 複素フィンスラー幾何学への応用については,L.C.Rizza-Kahler計量という新しい計量を提案し,よく知られたL.C.Kahler計量との関係を研究し他.得られた研究成果のいくつかは,第47回フィンスラー幾何学シンポジウム(平成24年11月鹿児島市)で講演し発表するとともに,論文にまとめ投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究成果は主に実フィンスラー幾何学において平均化の手法で研究を遂行してきた.平均化の手法とは計量や接続をファイバー積分を用いて底空間の計量や接続を構成する方法である.実フィンスラー幾何学の場合,この平均化の手法がうまく機能するのは,与えられた計量が特殊な条件,すなわち,計量がLadndsbergであるという仮定では,底空間での微分がファイバー積分の中にLie微分作用素として入り込み,うまく議論を展開できる.しかしながら,このLandsbergという仮定は強すぎることがわかっている.フィンスラー幾何学における未解決問題の一つである,Landsberg計量の具体的な例の構成も重要な研究課題であり,この問題にも着手した. 一方で,複素の場合は,実フィンスラー幾何学とは違い,ファイバーに横断的な方向でファイバー計量を常に保つようなものが自然にとれることがわかっている.したがって実の場合のようにLandsbrgというような仮定は必要ない.さらに,そのような方向へのリフト(水平リフト)は,Chern-Rund接続と呼ばれている自然な複素フィンスラー接続を定めることがわかっている,この接続は複素フィンスラー幾何学に基本的な役割をはたすことがわかっている.今後は,与えられた複素フィンスラー計量やChern-Rund接続のファイバー積分から得られる計量や接続を研究し,底空間のKahler幾何学との関係を研究する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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Research Products
(4 results)