2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540125
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菊池 誠 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (60273801)
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Keywords | 数学基礎論 / 不完全性定理 / 算術の超準モデル / 様相論理 |
Research Abstract |
算術の超準モデルについて,T を PA の拡張とすると,T + not Con(T) の超準モデル M で,以下の条件を満たすものがそれぞれ存在することを示した.(1) M 上で Rosser の可証性述語を用いて定義される理論が TA と一致する.(2) M の任意の initial segmnet N をとると,N が超準モデルの場合には N 上でPA から証明可能な論理式の集合が標準モデル上で PA から証明可能な論理式の集合よりも必ず増えているものが存在する.(3) M の initial segment N をとると,N が T + Con(T) のモデルになっていれば,N 上で PA から証明可能な論理式の集合が標準モデル上で PA から証明可能な論理式の集合と一致するものが存在する.以上は倉橋太志氏との共同研究である. 逆理を用いた不完全性定理の証明の一般化に関して,前年度の研究成果を拡張し,任意の矛盾する命題論理の論理式について,幾つかの命題変数の前に適当に様相演算子を挿入することで,証明可能性に関する様相論理の GL または GLS と無矛盾となるように出来ることを示し,さらに述語論理に拡張することで,数多くの既存の逆理がこの枠組みで説明でき,不完全性定理を導くことを明らかにした.また,明示的自己言及性と非明示的自己言及性の区別を与え,その基本的な性質について議論した.以上は倉橋太志氏との共同研究である. T + not Con(T) の超準モデルにおける 0=1 に至る証明の長さに関して,証明のステップ数が有限となるようなものが存在することについて基本的な事柄の検討を行なった. Sigma_2 で公理化可能な無矛盾な理論で自分自身の無矛盾性を証明するものの存在を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
算術の超準モデルの構造に関する研究が大きく進展し,研究計画開始時に挙げていた問題の一つが完全に解決した.また,不完全性定理に関して前年度の研究成果をさらに改善することに成功して,逆理を用いた不完全性定理の基本的な性質を概ね全て明らかにすることに成功した.これらは大きな進展であると考えられる.一方,不完全性定理に関しては,研究計画開始時に目標としていた speedup 定理に関しては研究が進んでいない.また,矛盾許容型論理に関しても研究は進んでいない.従って,現在までの達成度は概ね順調であると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
T + not Con(T) の超準モデルの構造に関する研究が大きく進展したので,超準モデルの構造およびそれと標準モデルの関係の研究に着手する.具体的には,M を T の超準モデルとし,N1 と N2 を異なる initlal segment とするとき,M-N1 と M-N2 が同型になる場合があるか,また,同型にならない場合があるか調べる.また,D を端点を持たない稠密な順序とするとき,順序型が N + Z X D の形をした超準モデルが存在するか調べる.また,Goedel の speedup 定理について調べ,Blum の speedup 定理との関係を明らかにする.さらに,T + not Con(T) の超準モデルを用いて矛盾許容がた論理について調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に実施予定であった国内研究者との研究打ち合わせについて,これまでの研究成果の哲学的側面の検討を十分に行なうことができなかったことが理由で,平成24年度中に実施することができなかったものが一件あった. 平成25年度中に実施予定であったこれまでの研究成果の哲学的側面の検討を速やかに行ない,平成25年度中に実施の予定であった研究打ち合わせを平成26年度前半に実施する予定である.なお,平成26年度中に実施の予定である研究打ち合わせとは日程等の重なりはなく,問題は生じない.
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Research Products
(1 results)