2012 Fiscal Year Research-status Report
DNA2本鎖切断生成過程における確率論の応用と理論
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24540128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
税所 康正 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70195973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金川 秀也 東京都市大学, 工学部, 教授 (50185899)
畑上 到 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (50218476)
伊藤 敦 東海大学, 工学部, 教授 (80193473)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 確率モデル / DNA / 2本鎖切断(dsb) / 線エネルギー付与 (LET) |
Research Abstract |
本研究の目的は,DNAに致命的な損傷を与える2本鎖切断(dsb)の放射線照射による生成プロセスを,確率論的モデルを構築して解析し,dsbの照射する放射線量依存性を調べることにある。 本年度はまず低線エネルギー付与 (LET) 条件下におけるモデルを構築し,得られた結果を論文としてまとめて発表することができた(現在掲載決定済)。すなわちここでは,Poisson 分布モデルと2項分布モデルの2つのモデルを考えて,どちらのモデルにおいても近似的に,dsb 数/全切断数は線量に比例し,平均 dsb 数は線量の2乗に比例することが示された。また,平均 dsb 数の線量の2乗に対する比例定数(いわゆる LQ モデルにおいて β とされるもの)は,各2本鎖上の ssb を dsb と認識する範囲(感受性域と呼ばれることもある)を表す定数によって一意的に 決定されることがわかった。さらに,哺乳類細胞内の DNA における dsb 数の線量による変化に,Poisson 分布モデルと2項分布モデル間の差がみられないのに対し,Phage PM2 DNA の場合に,高線量域で両モデルに明確な差が出ることを報告した。この結果はいくつかの研究集会でも紹介することができた。 また,申請書の研究計画にあるように,LET が変化した場合にdsbのLET依存性を調べるに当たり,どのような確率モデルを構築することが最適であるかについて,分担者の伊藤氏と密接に相談を繰り返しながら現在研究を継続しているところである。 一方本研究はこれらの現象を解析するなかで出現する数学的問題を解決することも目的にしている。本年度出現した期待値の比に関する問題をはじめとするいくつかの確率論的問題について,分担者の金川氏と連絡をとりながら調べているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低線エネルギー付与 (LET) 条件下におけるモデルを構築し,得られた結果を論文としてまとめて発表することができた(現在掲載決定済)。この結果はいくつかの研究集会でも紹介することができた。また,申請書の研究計画にあるように,LET が変化した場合にdsb生成のLET依存性を調べるに当たり,どのような確率モデルを構築することが最適であるかについて、分担者の伊藤氏と密接に相談を繰り返しながら現在研究を継続しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続いて研究協力者達の協力を受けながら、分担者との共同研究を行う。 具体的には、dsb生成の放射線量とLETに関する依存性を表現する確率モデルを構築することをめざし、さらにそこで出現する数学的問題を解決する。これらを実行するために、分担者と緊密な連絡をとり、得られた結果はさまざまな研究集会で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者との研究打合せ、成果発表などの旅費、研究関連図書など申請時の研究計画調書に沿った使用を行う予定である。
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