2013 Fiscal Year Research-status Report
DeBranges空間論を用いた半閉作用素の位相解析的研究
Project/Area Number |
24540160
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
平澤 剛 茨城大学, 工学部, 教授 (10434002)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 裕和 茨城大学, 工学部, 教授 (90257254)
|
Keywords | 半閉作用素 / DeBranges空間 / 準線型発展方程式 / カラテオドリ条件 |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画は、平成24年度の成果をより具現化していくことである。半閉作用素の集合を距離空間と考えたとき、半閉な対称作用素の集合の中で自己共役作用素の集合は相対的に開集合であるという平成24年度の結果を、次の(1)と(2)の視点から考察していくことである。(1)自己共役作用素の典型例であるラプラシアンに対して、これが内点となるような開球の半径はどの程度の大きさか?さらには、その半径の計算およびその最良性の検討。(2)自己共役作用素(ラプラシアン)に摂動項として半閉対称作用素(ポテンシャル)を加えたとき、その摂動後の自己共役性の判定を距離を用いて位相的に考察する。これらの研究課題に対して、平成25年度は一定の成果が得られた。(1)に対しては、2乗可積分関数空間における1階の微分作用素やラプラシアンの半径の値を与えることに成功した。さらに、1階の微分作用素の半径の値の最良性については、条件付きではあるが一定の成果が得られた。また、岡は平成24年度に引き続き、差分近似理論の立場から、カラテオドリ条件を満たす準線形発展方程式に対する適切性理論を研究した。昨年度の研究内容を再検討することから始めて、時間局所的な可解性理論の新たな定式化を提唱した。その結果、対称双曲型の偏微分方程式系のみならず、準線形波動方程式の初期値問題にも応用可能な理論に改良されたものと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までのところ、計画通りに概ね進んでいる。以下にあるような平成25年度の研究実施計画に記載した研究課題(1)と(2)に関して、経過途中ではあるが概ね順調に遂行している。 (1) 選択関数を指定したとき、ラプラシアンなどの具体的な自己共役作用素を中心とする近傍の半径の計算および最良半径の決定。 (2) 非摂動項である自己共役作用素に、摂動項として半閉対称作用素を加えることによる摂動を、距離を用いて位相的に考察し特徴付ける。特に、摂動前後での定義域の変化がないケースを扱う。ラプラシアンに掛算作用素を加えた摂動後の自己共役性を上記(1) の半径との関連性から考察する。
|
Strategy for Future Research Activity |
今までのところ、計画通りに概ね進んでいるため、今後の研究の推進方策も当初の予定通りに進めていくつもりである。平成26年度の研究実施計画は以下の通りである。 平成26年度は、摂動項と非摂動項の定義域に包含関係がない、すなわち、摂動前後の定義域が異なるケースを扱っていく。これは一般正則族と呼ばれる作用素族にも登場するため、重要な問題として位置づけられるが、難しい問題である。そこで、平成26年度の研究実施計画としては、既存の具体例を我々の立場から解析していくことで、困難な点を浮き彫りにしていく。以下が実施計画である。 (1) 非摂動項であるラプラシアンに対して、独立変数の2乗を掛ける掛算作用素を摂動項としたときの自己共役性を、距離計算を行うことで判定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほとんど計画通りに使用しているが若干少額の残額が生じた。その理由は、日程の都合により当初の出張予定に変更があったためと、書籍購入の必要性が予定より高まったことである。 次年度使用額は、情報収集のために物品などの書籍関係に充当する予定である。少額であるため平成26年度の使用予定額に影響はない。
|
Research Products
(3 results)