2014 Fiscal Year Annual Research Report
DeBranges空間論を用いた半閉作用素の位相解析的研究
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24540160
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
平澤 剛 茨城大学, 工学部, 教授 (10434002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 裕和 茨城大学, 工学部, 教授 (90257254)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 半閉作用素 / DeBranges空間 / 準線形発展方程式 / 強解 |
Outline of Annual Research Achievements |
函数解析的側面からの研究として、和や積などで閉じているヒルベルト空間上の半閉作用素の集合を、距離を用いた位相解析的考察を行うことで、その特性を活かした研究が行なわれた。昨年度までの結果としては、自己共役作用素の集合は半閉な対称作用素の集合において相対的に開であることが示された。従って、ラプラシアン(自己共役作用素)を内点にするような開球が存在することになるが、開球の半径を具体的に数値で与えた。半径の値が明示されたことにより、ラプラシアンを中心としてこの半径内にある半閉な対称作用素は自動的に自己共役になることを意味しており、作用素の摂動論と距離の関係性を結び付けているという点で意義があり重要である思われる。平成26年度は、応用として Kato-Rellich ポテンシャルを備えたシュレーディンガー作用素の自己共役性に関する結果、所謂、Kato-Rellich の定理に対して、上記のラプラシアンの半径を用いることで位相解析的な視点による別証明を与えることができた。一方、実解析的側面からの研究として、差分近似理論の立場から抽象的準線形発展方程式に対する適切性理論を研究した。方程式を支配する作用素の時間依存性に着目し、作用素が時間に関して連続であることを仮定しないで考察した。抽象的発展方程式論において支配する作用素の条件を弱めることは、偏微分方程式の係数に関する条件を弱めることに相当するため、応用上きわめて重要なポイントとなる。作用素が時間に関してある種の可測性をもつという仮定のもとで方程式の時間局所的な強解の一意存在定理が得られた。現在、その証明を検証している段階であるが、本定理が正しければ、一般のバナッハ空間で考察した先行結果はないので抽象発展方程式理論の大きな進展の1つと考えられる。
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