2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
国場 敦夫 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70211886)
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Keywords | 4面対方程式 / 量子座標環 / 3次元反射方程式 / q-振動子表現 / PBW基底 / 量子R行列 / 量子群 / 量子クラスター代数 |
Research Abstract |
2013年度は,主に2つの成果を得た. (1) 古典単純リー環の正ルートに付随するベキ零部分代数に対応する量子群のPBW基底の変換行列と,量子座標環のSoilbelman表現でワイル群の最長元に対応するものの間の同型写像が一致することを証明した.Soibelman表現の同型写像が4面体方程式や3次元反射方程式など,3次元可解模型の基礎方程式の解となることは2012年までの研究により明らかにしてきた.また,近年のGeis, Leclerc, Schroer らの研究により量子座標環自体が量子クラスター代数の構造を持つことが認識されている故,これらの結果は高次元可積分系と量子クラスター代数との関係を示唆する重要な知見である.2013年度秋季日本数学会の一般講演で発表し(尾角),査読付き国際学術誌に出版した(Kuniba-Okado-Yamada). (2)4面体方程式のq-振動子解は量子座標環に付随する重要な解であり,多くの顕著な性質を持つ.この解をn個合成して適当なq-振動子状態について行列要素を取るとYang-Baxter方程式の解となることを指摘した.これを3次元R行列の2次元簡約という.実際にはトレースをとる以外に3通りの2次元簡約が可能である.2次元簡約で得られたYang-Baxter方程式の解が量子群の枠組みでどのように位置づけられるかを明らかにすることは3次元可積分系や量子クラスター代数と量子群の関係の重要な手がかりとなる.本研究では上記の解が,ランクnのあるアフィン・リー環のq-振動子表現の量子R行列に一致することを証明した.2014年春の日本数学会で一般講演し,論文一報が査読付き国際学術誌に出版され,もう一報(ともに Kuniba-Okado)が掲載決定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子クラスター代数と可解模型との関係を開拓するのが主目的である.研究助成開始より現時点までに,3次元頂点模型や3次元反射方程式などが,量子クラスター代数の構造を持つ量子座標環に付随する可解模型,代数構造であることを明らかに出来た.これは理論的に大きな進展である.またこれらの模型の2次元簡約を量子群の中に位置づけることにも成功している.総じて量子クラスター代数と量子可積分系との繋がりについて具体的な可解模型に準拠して論じる土台を築くことができたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
量子クラスター代数において最も特徴的な箙や変異,クラスター変数,クラスター係数といった要素,構造が,どのようなクラスの2次元可解格子模型,あるいは然るべき高次元系において直接同定されうるのかは大きな課題である.これに関連して箙ゲージ理論の枠組みから示唆的な量子クラスター代数の構造も指摘されている.またアフィン・リー環の指標に関する国場・中西・鈴木予想と関連する箙変異q級数の構成法も提案されている.今後はこれら最新の結果および,量子2重対数,双曲多様体の幾何などから得られる知見を統合し,可解格子模型の枠組み自体の拡張を模索しながら研究をすすめる. 当座の具体的課題としては,3次元R行列と3次元L行列が混合した積の2次元簡約を構成し,その量子群的特徴付けを行う.また,7月にキャンベラ大学から3次元可解模型の専門家であるSergey Sergeev教授を招き,集中的に共同研究を計画している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年12月に英国カディフにて開催された物理学と組合せ論に関する国際研究集会に参加,講演し,研究成果について議論する予定であった.そのための旅費と4日ほどの滞在費までを含めると,交付された全額を使用できる見込みであったが,研究集会の2週ほど前に急に体調を崩し,やむを得ず参加を見送った.このために未使用額が生じた. 今年度は,国内の学会,研究会,共同研究者との研究打ち合わせなどのための旅費,滞在費に加え,ゲント(ベルギー)で開催される国際会議「理論物理における群論的方法」の参加,キャンベラ大学(オーストラリア)より Sergeev教授を共同研究のため12日程東京大学総合文化研究科に招聘するなど,国際交流にも多くの用途があり,適正に配分しながら満額使用する予定である.
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Research Products
(19 results)
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[Presentation] Wonder of sine-Gordon Y-system2013
Author(s)
中西知樹
Organizer
Algebra, Combinatorics and Representation Theory: in honor of the 60th birthday of Andrei Zelevinsky,
Place of Presentation
Northeastern University, Boston, USA
Year and Date
20130424-20130428
Invited
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