2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540250
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
滑川 裕介 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (00377946)
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Keywords | 計算物理 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、格子量子色力学シミュレーションを用いて、未発見ハドロンの性質解明を進めた。物質の最小構成要素はクォークである。このクォークの中で4番めに重いチャームクォークを含む複合粒子のスペクトルを計算した。本シミュレーションは物理点直上で行われたため、大変現実世界に近い結果が得られた。本シミュレーションにより、既存の粒子に加え、未発見ハドロンの存在を示した。また、その質量スペクトルを予言した。本研究で予言された未発見ハドロンは、現在稼働中のLHC実験や現在計画中のBELLE2実験等での発見が期待される。 本研究成果を踏まえ、さらに現実に近いシミュレーションを実行すべく、コード開発を進めた。現在のシミュレーションは、有限の格子間隔に起因する系統誤差が有る。また、格子サイズは3fmであり、格子サイズの有限性による誤差も存在する。これらの誤差は約1%と小さい。ただし、統計誤差も同程度の大きさである。より現実に近い計算結果を得るためには、有限格子間隔及び有限格子サイズによる系統誤差削減が必須となる。前者に関しては、ゲージ場を滑らかにするアルゴリズムを採用し、誤差の低減に努める。このアルゴリズムを用いた計算コードを開発した。後者については、物理的に大きなサイズの格子を用いることで回避する。 上記に加え、この新しいアルゴリズムを使用したシミュレーションの準備計算をした。ゲージ配位生成を行い、期待通りゲージ場が滑らかになる事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、格子量子色力学を用いて、実験的に未発見であるハドロンに対する予言を与える事ができた。より現実的なシミュレーションを目的としたコード開発も順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
より現実的な予言を目指す。コード開発をさらに進め、有限格子間隔による系統誤差を削減する。可能であれば、連続極限値を求める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大規模計算機付属の一時領域にシミュレーションデータを保持可能であったため、当初予定されていたストレージ購入を見送った。 ストレージを購入する。本研究は、次年度が最終年度であるため、これまで使用してきた大規模計算機付属の一時領域は次年度で使用を終了する。データ恒久保持のため、ストレージを購入し、データを一時領域からストレージに移す。
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[Journal Article] Bridge++: an object-oriented C++ code for lattice simulations2013
Author(s)
S.Ueda,S.Aoki,T.Aoyama,K.Kanaya,H.Matsufuru,S.Motoki,Y.Namekawa,H.Nemura,Y.Taniguchi,N.Ukita
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Journal Title
PoS
Volume: LATTICE2013,412
Pages: 1-7
Peer Reviewed
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